武市半平太 風終幕
1日目
sub:蘇芳さん
今日は疲れたろう。
ゆっくり休むといい。
わたしで役立てることがあれば
言いなさい。
但し。
今のうちはいいが、大人の女性になるのであれば、
団子を人前で沢山頬張るのは、やめなさい。
瑞山
2日目
sub:蘇芳さん
まったく君は目が離せないな。
他人の心配をする前に、食事を綺麗に食べる方法を身につけなさい。
嫁の貰い手が無くなりますよ。
・・・いよいよとなったら、相談を聞きましょう。
瑞山
3日目
sub:蘇芳さん
夜道で迷わせてしまって、悪かった。
心細かっただろう。
蘇芳さんのおかげで、僕らが無事帰れたのは、事実だ。
素直に、感謝をしている。
瑞山
4日目
sub:蘇芳さん
朝の稽古では、君に癖が大分見えた。
明日からは、本腰を入れて稽古が出来そうだ。
喜ばしい事ですね。
・・・・・それにしても、面倒事に巻きこんでおいて、言えた立場ではないが。
君は、僕の言う事を、大人しく聞く日はくるのか?
瑞山
5日目
sub:蘇芳さん
部屋で大人しくしていなさい
6日目
sub:蘇芳さん
食事、馳走でした。
とても美味かったですよ。
きっと、蘇芳さんは、出来た嫁として、迎えられる日が来るだろう。
そんな事、わざわざ書くことでもないか。
今日は筆の行方がおかしいようだ。
みっともない話まで、聞かせてしまったし、夜も世話をかけた。
すまない。
瑞山
7日目
sub:蘇芳さん
先ほどは不快な思いをさせてしまってすまない。
乾はああいう男だから、僕のいないときにはくれぐれも近寄らないように。
いいね、くれぐれも、だ。
それから、やむなく君をひとりで出歩かせることになってしまったが・・・道に迷いそうになったら、その前に帰ってきなさい。
瑞山
8日目
sub:蘇芳さん
以蔵の話は、少し割り引いて聞いておくように。
僕は、それほど立派だったわけではない。
……過去の話よりも、君と「あん」の話をしているほうが、なごむ。
瑞山
9日目
sub:蘇芳さん
さっきは怖い思いをさせてしまったね。
完全に僕の不手際だ。すまなかった。
だが、君の探していた場所が見つかってよかった。
これが怪我の功名というものかな。
・・・・・その事についてはまた、後で話そう。
瑞山
10日目
sub:蘇芳さん
今日は服の事などで騒がせてしまったね。
君が気の利く女子で助かった。
有難う。
瑞山
11日目
sub:蘇芳さん
君が無事で居てくれること。
それだけを祈っている。
もっと、話したいことがある。
伝えたいことがある。
だがそれは、君と直接会って伝える。
今は、とにかく。
君の無事な姿を、ただ、見たい。
瑞山
12日目
sub:蘇芳さん
驚かせて、しまったかな。
さっき言った言葉は、包み隠すことのない、僕の本当だよ。
目を閉じたら、また君が消えてしまう気がして、怖くてたまらないんだ。
だから、僕の傍に居て。
少しでも、近くに、ずっと居てくれないか。
瑞山
13日目
sub:蘇芳
さん
何故、君は、僕の言うことを聞かないんだ!
これ以上は、君が役立つ事はない!
一刻も早く帰るんだ。帰ってくれ・・・!
瑞山
14日目
sub:蘇芳
僕は、きっと、君と出会ってからずっと、不安だったのかもしれない。
愛しいと思う者が、こんなにも己を支配するなんて、知らなかったから。
君はいつか、居なくなってしまう子だと思っていた。
だが、今日、蘇芳が心から伝えてくれた言葉に、僕は救われた。
僕と一緒に来てくれる君を、僕はもう放さない。
瑞山
15日目
sub:蘇芳へ
ふたたひと
還らぬ歳を
はかなくも
今は惜しまぬ
身となりにけり
――それでも。
僕はずっと君を忘れない。
瑞山
[ 6/28 ][*prev] [next#]
[top]