また、いつか。
「桂さん、お誕生日おめでとうございます!!」
「おお、小五郎!おめでとさん!!」
…
そう言って笑う、二つの太陽はもう、ない。
・・・
今年もまた、この季節がやって来た。
数ある季節の中、ここまで心苦しくなる季節は他にあるだろうか。
彼女とはこの京の地で二年間過ごした。
彼女を未来へ帰したのは...私だ。
...それは今は亡き、かけがえのない友の願いでもあった。
“晋作…”
あいつがいつも身に着けていた首輪を、
汚れてしまったこの手で強く握る。
病状が悪化した晋作は私の手を弱々しく握り、
必死に訴えかけてきた。
…その願いは、当時の私には
到底受け入れ難いものだったが…。
「小五郎!」
「桂さん!」
私の名を呼び、駆け寄ってくる二つの太陽のような笑顔は、
既に雲に隠れてしまった。
“桂小五郎”
その名も、当の昔に捨てた。
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