また、いつか。
「この道は...。」
足が進むに連れ、当時の記憶が鮮明に甦る。
この道はあの夏祭りの日、新撰組から逃れる為に、
私..."逃げの小五郎"が用意した裏道だ。
「まさか、ここに続いているとは...。」
・・・!!
ふと口から零れた言葉に、驚く。
私も、変わったものだ。
今まで"勘"で動いた事は無かったのだが...。
やはり、二つの太陽の存在は途轍もなく大きかったのだと、
今となり気が付く己に複雑な念を抱く。
「少しは石頭が割れたかい...晋作?」
決して戻って来ることの無い問い掛けが、
雲ひとつない空に切なく響く。
私は一つ、苦笑を浮かべると藩邸へ向かってまた歩き出す。
"もっと色々なものが見てみたい"
そんな好奇心が私の足を一層急かした。
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