水遊び
ちゃぷん、ちゃぷん…
会合を終え、寺田屋に戻ると不意に縁側の方から耳馴れない水音が聞こえた。
水音の元を辿るとそこには…
大きな桶に水を張り、膝まで裾をあげ白い素足を水につけている昴
一般的にははしたない行為に違いない。
だが、彼女だからなのか陽を浴びて、ゆらゆらと水面が揺れる様に美しさ、いや、神々しさすら感じる。
ふと羽衣天女の話を思い出す。
羽衣を脱ぎ、水浴びをしているうちに羽衣を盗まれ、天に戻れなくなった天女。
元の世界に戻さねばと思う気持ちに反して、ずっと傍にいて欲しいと願う気持ち
さしずめ僕は天女に惑わされ羽衣を盗んだ人間の男か…
天女でもなければ羽衣なんかない生身の女子なのに
ふっと自嘲めいた笑いを溢し、彼女の元へ歩を進めた。
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