まどろみ

小娘がいつものお礼にと耳かきをやらせて欲しいと言い出した。

この娘の突拍子もないのは周知の事実なのだが…言い出した本人は満面の笑みで

「自分でいうのもなんですけど、私すっごく上手なんですよ?」

と告げる。

ほらほらと半ば無理やりに近い状態で小娘の膝の上に頭を据えさせられた。

「普段誰かにしてもらったりしませんか?」

「一度、共寝をしていた者にしてもらったことがあったが、あんまり良いものではなかったな。」

「共寝?」

「夜、共に寝る女ということだ」

「…あぁ!元カノ!」

「もとかの?」

「以前お付き合いしていた女性ってことでしょ?」

小娘のところではそのように表現するのか。
かといって、その女は数いた者の一人にすぎないのだが…

「…少し違うような気がするが………」

「まぁまぁ、私の腕を信じてください!」

にこやかに笑う小娘にされるがままになっていた。

「反対向いてください」

何か口にするのも面倒になり言われた通りに逆を向く。
連日、寝る間も惜しんで仕事をしていたせいか段々と目の前にもやがかかっていき、瞼が重くなっていく。


***

「大久保さん?」

「…」

「大久保さん?終わりましたよ?」

「…」

「あれ?」

(目を閉じてるだけなのかと思ったけど…寝てる〜!)

スースーと規則正しい寝息を立てる大久保さんはやっぱりキレイな顔。
いつもの意地悪な表情じゃないし、なんていうか…無垢?

「…お母…さぁ…」

「あれ?起きたのかな?」

大久保さんの顔を再び覗きこんでみる。
私のお腹側に顔があるんだけど、瞼は閉じられたままで起きてはいないみたい。

ただ、ぬくもりを求めるネコみたいにすりすりとお腹に顔を寄せてくる様子が何とも言えない気持ちにさせられる。

「おかるさん?元カノの名前かな?」

さっき、元カノがいた話が出た時、不思議と嫉妬心などは出てこなかった。
逆に嬉しさに近い感情が浮かんでいた。

(普段自分のことを話さない大久保さんが話をしてくれるだけで気を許してくれてるのかなって思うからかな。
 ま、大久保さんくらいの年齢の男性だと彼女がいない方が怖いもんね〜。)

「…気持ち…よか…」

「ふふふ、かわいーw」

少しくせのある大久保さんの髪の毛を梳きながら、大久保さんが目を覚ました時の事を考える。

「さっきの人の名前出したらどんな顔するだろう?」

起きてる時もいつもの表情を崩せるかもと思うと笑いが混みあげてきた。




<アトガキ>

相変わらずの天然小娘ちゃん
そして、まさかの大久保さんマザコン疑惑!?
いえいえ、小さな頃の夢をみたってことでw
茶利さんからの宿題「大久保さんを膝枕して耳掻き」でした。
なんか、最近書いている大久保さん偽者感が拭えないなー。
すいません。
こんな偽者大久保さんでよければどなたでもお持ち帰りください。

ふぅ…早く大久保√こい!!!

20110714 蘇芳


[ 22/40 ]

[*prev] [next#]


[top]


QLOOKアクセス解析






第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -