夢の跡

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「…ん……し…さ…ん…」


「…しんさくさん!」

はっと目を開けるとあみが心配そうな顔で覗き込んでいる。

「大丈夫?うなされてたよ?」

「…う…なされ…?」
喉がうまく動かず言葉がうまくでない。

「あれ?お…れは?」

「はい、お白湯をどうぞ」

「…ああ」
上半身を起こし、渡された白湯で喉を潤し、記憶を手繰り寄せる。

「もう!私の事を庇って雨にずぶ濡れになったのに!ちゃんと暖まらないから風邪引いちゃうんだよ?すごく高い熱が出ててびっくりしちゃった!」

(雨?ああ、そうだ。小五郎の目を盗んで二人で出かけて雨に遭ったんだった)

「熱?」
自分の額に手を当てると玉のような汗が吹き出ていた。

「うん。でももう熱も大丈夫みたいだね。汗一杯かいたから気持ち悪いでしょ?」

あみはニコニコとしながら濡れた手拭いで額の辺りを丁寧に拭いてくれる。

(ゆ…め…だったのか…)

ほぅと大きな溜め息が漏れる。

「ん?晋作さんどうしたの?」

「いや、あみがいてよかったと思ってな」

「一晩中いたよ?あ、お水を換えに何回か席を立ったけど」

ずっと手を離してくれないから困ったんだよと少し頬を染め、口を尖らせて抗議するあみ
あみの手首を見ると少し赤くなっていて、跡がついている。

「そうかそうか…すまなかったな」
あみの頭を優しく撫でてやる。

「晋作さん?」

少し不安げな心配したような表情で見つめるあみをみて、いつものようにガシガシと撫で直すとにっこりとあみは微笑んだ。

「よし、背中も拭いてくれ!」
がばっと寝間着をはだけさせる。

「きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「なんだ、お前が拭いてくれるんだろ。嫁の勤めだ」

「まだ嫁じゃありませんってばぁ〜〜」

「同じようなもんだ。ほら、もっと良く見ろ!!!」

「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!!」



この悲鳴を聞きつけた小五郎に昨日の脱走を含め、説教を受けたのはまた後の話。



《アトガキ》→

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