ひとつ屋根の下〜三人の想い〜

「高杉さん、桂さん、おはようございます」

障子を開けながら、朝の挨拶をする。
そして、いつもの私の朝が始まる。
高杉さんと、桂さんと私、3人の朝食の時間。


「蘇芳さん、おはよう」

「お、蘇芳!今日もかわいいな♪やはり俺の女だな!」

「な・・・、高杉さんの女じゃありません。」

いつもこんな調子で朝がはじまる。





「蘇芳さん、嫌なら嫌だと晋作にいっておやりなさい!
晋作、蘇芳さんは島原や下関の芸妓とは違うのだよ。
蘇芳さんの心は自由なのだから・・・」


ん?桂さん今朝はどうしちゃったの?なんか様子が違う・・・
なんか、なんか、なんだろう?


「あ、桂さん、別に高杉さんが嫌というわけでは・・・」

「小五郎、ほらみろ、蘇芳は嫌じゃないっていってるじゃないか。
 そのうち俺の女になるんだよな」

「あ、えっとー・・・・」

「晋作、蘇芳さんの心は縛れないのだよ」



「小五郎、お前?もしや・・・・」

「晋作、なにが言いたいんだい?」

「高杉さん、桂さんがどうかしたんですか?」

高杉さんと思わず、顔を見合わせてしまった。


◇◇◇◇◇◇


今朝の小五郎の様子、大体何なんだ?
言いたいことがあればはっきり言えばいいのだ。
あいつはどうしたいんだ?

おおよそ見当はついてはいるが、こればかりは譲れない。
蘇芳は、俺の女になるんだ!
俺がそう決めたからそうなるはずなんだ。
人間、思ったようにことが運ぶようになっている。
蘇芳は、恥ずかしがって否定はしているだけだ。
もうすこし時間をかければ、蘇芳のほうから靡いてくるはず。

それにしても、蘇芳は不思議なやつだ。
坂本や中岡ばかりか、あの武市でさえ今まで見せたことがない顔を蘇芳の前ではする。
岡田にしてもそうだ。
もっとも、小五郎にはそんなことはあるまいと思っていたが・・・
あの、小五郎がなーー。
蘇芳のあの笑顔がみんなを惹き付けるのか?
あの屈託のない愛くるしい笑顔が・・・

しかし、小五郎は自分の気持ちに気がついていて、あの発言をしているのか?
相変わらず、鈍感で石頭なのか?
小五郎・・・・



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