SHE

まだ陽が高く地上を明るく照らしているというにも関わらず私と蘇芳はお互いを激しく求め合い、欲望の成すがまま、深く、深く、深く愛し合った。
其のせいか蘇芳は私の膝の上に頭を乗せ力なく蹲るかのように横たわっていた。
そんな彼女の愛らしい姿を見て、もしかして彼女は美女?それとも野獣?、まぼろし?それとも、ごちそう?彼女次第で今日という日は、天国にも地獄にもなり得るなどと考えていると思わず「ため息」が口から漏れてしまった。
「小五郎さん?どうしたの?」
重たい体を無理に起こし私を見つめる眼(まなこ)はキラキラと輝き、あまりにも気高く其の瞳から流れ落ちる涙を誰にも見せたくないと思った。
そんな愛しくて堪らない蘇芳の頬に手を添え親指で軽く撫でながら
「・・・もしかして私の未来は蘇芳次第なのかと思ってね。」
「えっ?」
「一体・・・何時になったら、生きる事の意味を教えてくれるんだい?」
訳が分からないという顔をしながら首を傾けると「変な小五郎さん」と一言、笑いながら言うと私の首に腕を回し抱きつく蘇芳。
そんな抱きついてきた彼女の背中に手を回そうと腕を伸ばすと衣擦れの音と共に彼女の身体に羽織られていた私の着物が滑り落ち白くて美しい背中が露になったのを感じると
"誰にも見せてやるものか”
と言わんばかりに、其の華奢な身体を、きつく、きつく、両腕で力を込めて抱きしめて蘇芳の体内から聞こえる鼓動を胸に刻んだ。




[ 59/97 ]

[*prev] [next#]


[top]


QLOOKアクセス解析





「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -