中岡慎太郎




ふと誰かに願う時がある。
今、隣に居る人と末永く共に居られますように、と。

この人と一緒に笑って泣いて、喧嘩して。仲直りの抱擁に一際の幸福を感じて。握る手の柔らかさに使命感を思い出して…――。
ずっとずっと、傍に居られますように。
貴女の笑顔がずっと続く世にしたい。


「――…慎ちゃん、どうしたの?」

「…ん。ちょっと」


握った手に思いを込めて、目を丸くする愛しい人を見つめた。
ゆっくりと顔を近づけて目を覗き込むと、彼女は頬を赤らめて目を閉じた。
重なっていく唇。その口付けに、末永い世への想いを馳せた。







中岡慎太郎
『末永い世に』


.

[ 3/97 ]

[*prev] [next#]


[top]


QLOOKアクセス解析





第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -