朧月夜

それからしばらく、川沿いの土手を二人ならんで歩いていく。

すると、その先には・・・・

一面、黄色の絨毯が広がっていた。
西に傾きかけた夕日とあいまって、黄色とオレンジ色の世界。
見渡す限り菜の花畑が広がり、まるで夢の中のような風景画。

「わーーー、きれいーーー」

思わず、声がでる。

「蘇芳にどうしても見せたくてね」

やさしく小五郎さんが微笑みかける。
オレンジ色の夕日がふたりを包み込む。

春風がそよそよと吹き、小五郎さんと私の髪をなびかせる。
小五郎さんが、私の髪を整えるようにして私の頭をなでる。
大きな手のひらに包み込まれるようにして、二人の距離が近まる。

「蘇芳、私は蘇芳がいないとだめになってしまったらしい・・・」

きれいな小五郎さんの顔がとても近くなる。
そのままやさしく小五郎さんの唇が私に重なる。
夕日の中に二人溶け込んでいく。

「・・・・」

私はうれしくて、はずかしくて言葉を発することができなかった。

「蘇芳、泣いているの?」

そう小五郎さんに言われて驚いた。知らないうちに涙がでていた。

「蘇芳、泣きたいときは泣いていいんだよ。泣き顔は見られたくない?」

「え?」

「上手にその涙を隠す方法があるんだけど・・・」

「方法?」

「私の胸に顔をうずめるんだよ」

小五郎さんの意地悪・・・でも大好き・・・

空を見上げると月が昇っていた。
いつも私を導いてくれる月。
でも、今日の月は、春の景色とともに二人を霞のように包んでくれる朧月夜。
いつまでもこのときが続いてほしいと願う春の一夜・・・・


<終>written by AMY 2011.3.26

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蘇芳さーーん!
大変遅くなってごめんなさい!

蘇芳さんからのリクエスト「桂さん」×「春」
こんなんでいいですか?
桂さんと春でイメージしたのが、唱歌「朧月夜」でした。

この度は相互リンクありがとうございました。
蘇芳さんの書かれるしっかりとした文体と、
お話の展開の意外性に引き込まれます。
スタイリッシュなページ構成も大好きです。
これからもよろしくお願いします。

★*:;。・★*:;。・★*:;。・

AMYさん!!!
毎日忙しいのに…素敵な桂さんありがとうございますw
私の残念かつ渋い脳内では当初間違った曲が流れていましたが途中でちゃんと修正されました。
秘密の関係に…ふふふw
素敵な春のデートをさせていただいて(*ノДノ)キャー!!
といった感じで読ませていただきました♪

こちらこそありがとうございました。
今後もよろしくお願いします。

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20110328 蘇芳

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