新しい生活4 20130213

家の中を興味深そうにキョロキョロと見回す晋作に声をかける。
まるで遊園地かおもちゃやさんに連れてこられた子どもみたいだ。

「晋作、今から外に買い物とかいろいろ用事を済ませにいくけどどうする?」

「いく!面白いものが山盛りだからな!!!」

「ぁ…そうだった…」

わくわくと期待に胸を膨らませる晋作をみているとやっぱりダメとも言えず、「ちゃんと説明するから、大声とかあげたりしないで」と充分約束させた上で、出掛けることにした。

(なんかお母さんと子どもみたいだな)

心の中で苦笑しながら必要な物をピックアップするために家中を歩いて回った。

「ん〜夕食の買出しもしないとなぁ。
冷蔵庫は案の定からっぽだったし。晋作は何か食べたいものがある?」

「あ!『はんばあぐ』と『えびふらい』だ!」

「ハンバーグ?」

「おう!以前蘇芳が未来の食い物の中で好きだといっていたからな!」

「ふ〜ん、そうなんだ。じゃ、ハンバーグにしようかな」

それを聞いた晋作は目をきらきらと輝かせていた。

(なんだろう?ほんと子供みたいに無邪気だな。私のもってた「高杉晋作」のイメージとは全然違うや)

私の思っていた「高杉晋作」は革命家の激しい面を持っていたが、酒、女、三味線などの風流事を愛し、なんとなく格好いい「高杉晋作」
今残っている書簡から結構繊細で気分屋さんなんじゃないかと思って居たんだけど。

(やっぱり残っているものだけでは判断できないこともいっぱいあるんだな)


そんなことを考えながら彼をながめていると自分の頬が晋作の笑顔につられるように緩んでいたことに気づいた。

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