新しい生活1 20120928
「……やっと着いた…」
私はげんなりしながら兄のマンション、そしてこれから私が住むマンションを見上げた。
学生が住まうには似つかわしくないファミリー向けのマンション。
京都大好きな両親が長いこと家賃を払うよりも手頃なマンションを買った方が遥かに効率的だと中古のマンションを購入していて、実際兄は学生時代をここですごしていたし、京都に遊びに来る両親も活用していた。
実は…ここまでくる道のりは本当に大変だった…。
まず、持ち物。
あんな長い太刀を持ち歩けば一発で警察のお世話になるのはまちがいないので、置いていくように延々と説得。
初めは外に出るのに丸腰なんて!と抵抗していた高杉さんもしぶしぶ納得してくれた。
服装は多少?違和感があるが、そんな突飛なものでもないのでそのまま。
私的にはそこまでで充分ぐったりだったのに、高杉さんは見たこともないものばかりのせいか、大はしゃぎで、ホテルから出るまでにエレベーター、エスカレーター、自動ドア…何にでも食い付いていて…当初はバスに乗ろうと思っていたのだが、体力と周りの目に耐えられる自信をバス乗り場につく前に失ってしまい、最小限の被害で抑えられるであろうタクシーを使いやっとの思いでたどり着いた。
部屋の前まできて、
「ここで少し待っていてもらえますか?すぐに呼びに来ますので。」
というと、高杉さんはニカと八重歯をみせて
「おう、わかった!」
と請け負った。
その様子にひとまず大丈夫かなと思い、ドアを開けた位置から見えない場所に高杉さんを待たせ、兄の待つ部屋のインターホンを鳴らした。
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