出会い 20110401

『タイムスリップ』?

藍の中に何気なく浮かんだ単語が妙に引っかかる。

今までの変な反応
堂々とした名乗り
持っているものや衣服

(…まさかねぇ〜コスプレ好きの高杉晋作オタクでしょ?)

どうすべきか思案する藍は確かめるためにひとつの事を思い着いた。

相変わらずテレビに興味津々な高杉さんを横目に藍は荷物から一冊の本を出してきた。

坂本龍馬が書いた手紙をまとめた本だ。

ある頁を広げて高杉さんに渡す。
訳や解説が一切書いていない、頁丸ごと坂本龍馬の手紙が写された頁。

「ねぇ、高杉さん、それ読める?」

「ん?これ、どっかで見たような文字だな。…坂本の手紙か?」

すらすらと読みあげる彼に藍は驚愕していた。
一目見て坂本龍馬の筆と分かり、内容もすらすらと読みあげている。

藍は春から日本史を大学で本格的に学ぶために独学で古文書を読む勉強をしていた。
しかし、努力むなしく全くといって進歩がなかったのにこの人は事無げに読みすすめていく。

逆に他の頁にある今使われている楷書や漢字の方が読めないようだ。

(嘘だぁ〜何で読めるの?高杉晋作オタクでもそこまでする人いる??)

藍は自分の知っている知識を総動員して高杉を質問攻めにし、この人物が本物の「高杉晋作」ではない証拠を探したが、決め手が見つからずにいた。

ふと彼の持ち物に目が止まった。

「ねぇ、高杉さん…もしかして、その刀って真剣?」

「当然だろ?」

「…当然…じゃ、それって遠州一帯子光秀か安芸国友安?」

「お、良く知ってるなぁ。刀が好きか?これは安芸国友安だ。みたいか?」

ニコニコしながら、手に刀を添え、鯉口を切ろうとしている。

「いや、結構です!」

(この時代で刀を普通に持ち歩いている人なんていないよ…。
ホントにホントにホントに本物????)


「高杉さんがいた年号っていつでした?」

「慶応2年1月だ」

「慶応2年1月…って薩長同盟は?!」

「昨日無事結ばれた」

「昨日!?」



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