口は災いの元

長州藩邸での会合の日

私はお邪魔にならないように、桂さんが用意してくれたお部屋で会合が終わるのを待っていた。

「そういえば、みんなの事、聞いた事がある気がするんだよねぇ。なんだったかなぁ。」

ひとりで乏しい歴史の知識を引っ張り出していた。

しばらくすると
「会合が終わりましたので、こちらへ」と藩士の人に案内され、みんなのいる部屋へ通された。

「お疲れ様でした!!!!」

「お待たせしたね蘇芳さん、すぐにお茶の用意をさせるからお座りなさい」
「おお、蘇芳!!隣にこい!」
「なんで高杉さんの隣にいかんにゃならんのじゃ」
「蘇芳さん、さぁこちらへ」
「蘇芳、先生がそう仰られている。さっさと座れ!」
「以蔵君!乱暴に引っ張っちゃダメだよ!」

ワイワイと騒ぐ面々を呆れたような表情で一瞥し、
「小娘、来ていたのか。相変わらず惚けた顔をしているな」


(ぐっ。大久保さんも来てたんだ。あいかわらず舌好調…。)

ふと、大久保さんの顔を見て、唐突にある記憶が蘇った。
(そういえばカナちゃんが…。)

「どうした小娘。私の顔に見惚れるのもいいかげんにしろ」

「へ?え??あ!すいません」

「どうした?何かいいたい事でもあるのか?」

「いえ。今、大久保さんの顔を見たら唐突に思いだした事があって…。」

「ほう。言ってみろ」

「えーと、どういう経緯かわからないんですけど…」

「「「「「「「けど?」」」」」」」

いつの間にかみんなの目がこちらを向いている。

「えと…大久保さんがお父さんで、桂さんがお母さんだって話を聞いたことがあったような…。」

「「「「「…」」」」」


しばしの沈黙の後、私と名指しされた2人以外の大笑いが藩邸に響いた。

「小五郎!お前大久保さんに輿入れするのか!」
「大久保さんまさかそれが同盟の条件じゃなかろうのう」

みんなの中でも大笑いを隠さない龍馬さんと高杉さんが絡んでくる。

「えぇ!同盟で結婚とかするんですか?ってか、この時代は男同士で結婚するんですか?」

「姉さん、男同士では結婚はできませんよ…」
少し呆れたような慎ちゃんが教えてくれる。

そうだよねとほっと溜め息をついてその場で居住まいを正した。



ふと背後から紫色の炎の様なオーラと葡萄色(えびいろ)の炎の様なオーラが立ち上っているのを感じた。

どちらも黒みを帯びているのは気のせいであってほしい…。

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