影あそび

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夕焼けの中、一段と冷たくなった空気が頬を撫でる。

気分転換に散歩でもいかないかと誘われ、近所の河原を歩く。
その間に交わされた言葉はとりとめのないものばかり。

二人の影が長く伸び、数歩後ろを歩いている私がまるで彼と並んでいるかのような錯覚に陥る。


繋がれることのない彼の左手と私の右手

(影ならいいよね。)

心の中で呟いて、影の手に自分の影の手を寄せ、重ねた。


彼に釣り合う大人の女性には程遠い私は、とてもじゃないが気持ちを伝えるなんてできない。
だから気付かれないようにそっと。





「こらこら、何を悪戯しているんだい?」

不自然な動きをする私の様子に優しい声色で尋ね、微笑む彼。

「な、なんでもないです。」と分かり安い私の動揺にクスクスと笑みを深くし、ぽんぽんと手を頭に乗せる。


「さぁそろそろ戻ろう。体を冷やしてはいけないからね」

スッと出された左手に私の右手が浚われる。

ふたつの影がさっきよりも近づき、寄り添うように歩いていた。

(大人な貴方は私の気持ちに気付いていますか?)


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