ハネムーン

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「あれ?地球儀?」



朝から部屋でずっと書き物をしている龍馬さんにお茶をもってきたんだけど、珍しいものが目についた。


(今まで入ったときは気付かなかったけど前からあったのかな?)

「ほう、蘇芳は地球儀をしっちょるか」

「はい…。こちらにきてからは初めて見ましたけど…」

(私が知ってる国と違うのかも)

「龍馬さん、お邪魔じゃなければ見せてもらってもいいですか?」

「おう。かまわんよ。わしも、書き物が一通り終わったから一緒に見よう」



地球儀を挟んで向かい合わせに座り、クルクルと回してみる。
国名はアルファベットで書いてあり、多少の違いはあるけど、主要国は私が知っているものと変わりがないみたいだった。



「蘇芳は異国に行ったことあるんか?」

「はい。ココとココとココにいったことがあります」と韓国とハワイとアメリカの西海岸を指差す。


指差した先を見ようと龍馬さんが真横に座り直す。

「ほうか。まっこと羨ましいのう。わしも早く異国に行っていろんなものをみてきたいぜよ。」

キラキラした笑顔で語る龍馬さんは少年のように見え、年上なのになんだか可愛いと思ってしまった。

「のう、蘇芳。今わしらがやっている仕事が一段落ついたら、わしは異国を旅したいとおもっちょる。」

「わぁ素敵ですね!」

「…その時はおまんも一緒にいってくれんか?」

「え…?」

「はねむーんじゃ!」


(ハネムーン?!)
その単語に目をクリクリさせていると龍馬さんはニコニコと笑っていた。

「おぉ、その様子じゃったら意味はわかっちゅうみたいじゃのう」


(というか、龍馬さんこそ意味分かって言ってるの?)



「新しいことをするのも新しいものを見るのもおまんと一緒じゃったら、わし一人よりも何倍も楽しいと思うんじゃ。」

龍馬さんは真っ赤な顔をして私の右手を取り、両手で包む。

「だから、わしと祝言をあげよう。」


龍馬さんの言葉に涙がポロポロと溢れる。

「嬉しい。ありがとうございます」

涙が溢れつつも龍馬さんに出来る限りの笑顔を向ける。


私の返事に満面の笑みを浮かべ、そのままギュッと抱き締めてくれた。

「蘇芳、ありがとう!一緒に幸せになろう」

「はい!私こそよろしくお願いします。私はロンドンに行ってみたいです!候補地に入れておいてくださいね」

はしゃぎながら、笑顔を龍馬さんに向けると龍馬さんはいつものお日様のような笑顔を浮かべつつ私の肩を引寄せた。


二人で肩を寄せ、地球儀を見ながら時の経つのを忘れて近い未来のハネムーン計画を立てた。










→アトガキ

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