バレンタイン

(主劇)

「ありがとう」と皆に渡してもらったものと同じ包みを桂さんが受け取ってくれた。

(ほんとは別に用意したものがあったけどやっぱり勇気がでないよ。)

どうしようと考えあぐねていると桂さんの視線が私の後ろ側へいっているに気付いた。


「あれは…晋作にかな?晋作はもう少し遅くなるかもしれないよ。」
ニコリと桂さんが微笑みを浮かべる。

(高杉さん宛だと思われてるんだ…勘違いされるのはヤダ!頑張れ私!!!)

「…いえ高杉さんには朝渡しました。あれは桂さんの為に用意したものなのでご迷惑でなければこれも受け取って貰えませんか?」
文机に置いていた紫色の包みをとり、きょとんとした表情の桂さんに差し出す。

意味まではわからないだろうと書き添えた一文に想いを託して。
(長州藩 桂小五郎)

自室に戻り、受け取った紫色の包みを開けてみると銀鼠色の結紐と栞のような小さな紙が入っていて、宛名と異国の文字が書かれていた。

‐‐‐‐

桂さんへ

Be My Valentine

蘇芳より

‐‐‐‐

自分の為に用意されたものだということが分かっただけで温かい気持ちが溢れてくる。
さっきまでの黒い気持ちが昇華され、彼女への気持ちを確信した。

彼女の文がどんな意味なのかは今すぐに分からないが、明日から早速解読してみようと考え、温かくなった気持ちを抱いて床についた。





‐‐‐‐

「Be My Valentine」(私のバレンタイン=愛する人になってください)


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