周章狼狽6

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その瞬間、私たちより後から茶屋に入ってきた綺麗な女の人が立ち上がって、伊藤さんの手を掴んで、私の手から離させた。
伊藤さんはその女性を見て「か、か…」と言葉を詰まらせる。


ほぼ同時に
「しゅんすけぇ〜〜〜〜!俺の女に何をする!」
「伊藤さん!!!なにしちゅうが!!!」
と高杉さんと龍馬さんの声がした。

「え…高杉さん?坂本さん??」
伊藤さんはもう訳がわからないとばかりにキョロキョロしている。


同じく呆気にとられている私は綺麗な女の人を見上げると「あの二人…会合はどうしたんだ」と小さくそして冷たく呟いた。

その声は紛れもなく桂さんの声で、びっくりして名前を大声で叫びそうになる私の口を白い手で塞がれた。



‐‐‐‐

伊藤さんこと伊藤俊輔さんは長州藩の人で皆と面識がある人だった。

後から聞いた話だけど、伊藤さんは「まだ京に来たばかりだから高杉さんが狙ってる子だって知らなかったんです〜。」と言い訳するも高杉さんには聞いてもらえず、散々な目にあったらしい。


更にその後、伊藤さんは私のことで、高杉さんと龍馬さんは会合を無理矢理終わらせたことにして藩邸を抜け出てきたことで桂さんからみっちりお説教をされたらしい。




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