周章狼狽2
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「何もしておらん!人聞きの悪いことを言うな!」
武市さんの龍馬さんを諌める声に続いて私もつい大きな声を出してしまった。
「そうですよ!私はただ聞きたかっただけなのに。何で聞いちゃダメなんですか!?」
「「「「は?」」」」
(土佐藩 坂本龍馬)
「分からないことがあったから武市さんに教えて貰おうと思ったのに。聞いちゃいけなかったことだったんですかね?」
蘇芳さんは頬を膨らませ、ぶつぶつと呟いていた。
「どういうことじゃ?」
「だから、『お慕いしてます』の意味を教えて欲しかったんです。
私、『慕う』の意味は、例えば『以蔵が武市さんのことを慕っている』みたいな感じだと思ってたけど違う意味があるみたいなんで…だから武市さんに聞いてみようと思ったんです。」
「なんじゃ〜そうじゃったかそうじゃったか。吃驚した」
自分の早とちりだったことが分かり、自然と頬が緩んでいるのがわかる。
(質問するなら武市となっているのは少々腹立たしいがの。)
武市はさっきの動揺を隠しながら、質問に答えている。
「蘇芳さん、異性に対して『お慕いしてます』と言うのはその相手への想いを告げる言葉なんだよ。」
「え!そうなんですか!…困ったな…」
何やら思案顔の蘇芳さんはまたもぶつぶつ呟いている。
「それにしても、どうして姉さんはそんな質問に至ったんスか?」
すると頬を染め、言いにくそうにしながら、
「昨日お使いの途中に知らない人に声をかけられて…いまいち意味がわからなかったから適当に返事しながら話をしたんだよね。」と言った。
「そっか、告白だったんだ…どうしよう」
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