故郷

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兎追ひし かの山
小鮒(こぶな)釣りし かの川
夢は今も めぐりて
忘れがたき 故郷(ふるさと)


如何(いか)にいます 父母
恙(つつが)なしや 友がき
雨に風に つけても
思ひ出(い)づる 故郷


志(こころざし)を はたして
いつの日にか 帰らん
山は青き 故郷
水は清き 故郷




‐‐‐‐‐‐

緊張するので、歌っている間は周りを見ないよう目を瞑っていた。

歌い終わって目を開けると周りが静かになっていた。


「お粗末様でした」とペコリと頭を下げたのはいいが余りに周りが静かでそんなに下手だったかと焦ってしまう。


一人でオロオロとしていると桂さんが近くに来て頭にぽんと手を乗せ、ニコリと微笑み、こう言った。

「蘇芳さん、素晴らしい歌声だったよ。それにいい歌だ。ここに居る者は皆『志』をもって故郷を出て生きている人間ばかりだからね。きっと心に響いたんだよ。」

「そうですか…ね?」

「そうじゃ、いい歌声じゃったよ。ありがとう」と微笑む龍馬さんにほっとする。

いつの間にか賑やかさが戻った宴席からお酒の追加のため席を離れた。



続く

坂本√

高杉√

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