五割増し2
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無事に会合が終わるとオレは一目散に姉さんの待つ部屋に事情を聞くために向かった。
本当は龍馬さんや高杉さんが我先にこの部屋にやってこようとしたのだが、武市さんと桂さんが制し、話し合った結果、オレ一人で話を聞きに来た。。
薩長同盟というとてつもなく大業を成し、達成感で一杯だったが、先ほどの姉さんの様子はどうしてもひっかかっていた。
「姉さん、失礼します」
「あ、慎ちゃん?」
どうぞと声がかかり、部屋の中に入った。
無事に大仕事が終わったことを伝え、ほっとした様子の姉さんにさっきのことについて尋ねてみた。
「姉さん、何でさっき態度がおかしかったんですか?」
「え////なんでもないよ?」
「何でもないって態度じゃなかったっスよ。皆心配してます」
すると姉さんは諦めたようにふぅと溜め息を吐き、
「慎ちゃんは異性の好きな着物柄ってある?」
じぃーと目を見つめながら問い掛けてくる姉さんにドギマギしてしまう。
「////何ですか?急に!」
「なんでもいいから!」
「その人に似合ってればいいっスけど…柄なら辻が花とか色なら桜色とか藤色とか好きっスね。」
(姉さんが今着てる着物もかわいいっス)と心で呟きながらちらりと姉さんに視線を向けるがそれは意に介さない様子で
「そういう着物来てる人って普段より余計にかわいくみえたりしない?」
「そういえばそうっスかね。で、それがどうしたんですか?」
姉さんは真っ赤な顔をしておずおずと答える。
「…お、大久保さんが着てたスーツが…私…ダメなの/////」
「?だめ?」
「私…スーツ着てる人って普段より5割増くらいステキに見えるの///」
(なんだって〜〜〜〜!!!!!)
衝撃で言葉がでない。
「しかも、こっちに来て着物姿の人しか居ないし、ああいう服来てる人久々に見たから…////数倍ステキに見えちゃって…」
「ええええ!数倍?俺らが着てるこれは違うんですか?」
すると姉さんはキッパリと「それはスーツじゃないもん」とそっぽを向く。
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