新八のクラスの教室で誰だか知らない奴の机に腰掛け、忘れたらしい明日までの課題を探している新八を待っていた。


「…あ、…あった!、ごめんね銀くん、待たせちゃったね…」


少し赤みが残る瞳で俺に駆け寄ってくる姿は昔と全く変わらない。
いつもいつも俺を見つけては嬉しそうな顔で駆け寄ってくる新八。
その可愛い笑顔が好きだった。
いつからだろう、柔らかそうな赤い唇に自分の唇を押し当てたいと思ったのは。
いつからだろう、綺麗にアイロンをかけたそのカッターシャツを捲し上げその細い身体に触れたいと思ったのは。
いつからだろう、こんなに無垢で俺の事を心から信じているこいつをそんな目で見るようになったのは。


「銀くん?どうしたの?帰ろうよ」


無意識のうちに新八の頬に手がのびた。
柔らかくしなやかなその肌を親指で撫でる。


「…っ…、銀、くん…?何かついてた?」


そのまま指を頬の上に滑らせて柔らかな唇に指を押し付けた。
疑問に満ちた新八の顔。


ああ、駄目だ、抑えらんねぇ…。


「…銀…っんぅ…!!」


その柔らかい唇に自分の唇を押し付けた。
見開かれた大きな瞳。
固まっている新八の頭の裏を掴み逃げ場をなくす。
息が苦しくなったのか薄く唇が開かれた。
その隙を見逃さず、舌を差し入れる。


「…ふ…っ!?…んく…ぅ…ぁ…」


新八の口内は温かくて柔らかく、今までその辺の女としてきた接吻とはまるで違かった。
歯茎をなぞり、舌を絡めとり、その口内を堪能する。
新八は嫌がるでも暴れるでもなく、俺の服の袖を震える手で掴んでいた。

夕暮れ時の薄暗い教室。
窓からはオレンジ色の光が射し込み、そんな放課後の雰囲気とは裏腹にこの教室には卑猥な粘着音が響いていた。

やがて放される唇。
お互いの唾液が糸を作っていた。

新八は、はぁはぁと肩を上下させ荒い呼吸を繰り返す。
涙目で頬を赤らめ濡れた唇からは荒い呼吸。
その姿は驚くくらい卑猥で、理性を保ってなんていられなかった。


「……銀、く…ん…っ…」


そのまま新八のうでを掴み、近くの机に押し倒す。


「……うあ…、あ」


先程から新八は何も抵抗しなかった。
今もこうして押し倒しても全く抵抗しない。
少し戸惑ったような表情をするだけだ。


「…なぁ、なんでおめー、何も抵抗しねーの?いくらおめーでも今何されて、今から何を俺がしようとしてるかぐらいわかんだろ」

「……、っ……だ、って…」


嫌じゃないから、と、か細い声で新八は言った。


「…お前それマジで言ってんの?、嫌じゃねーのかよ、男にキスされて、抱かれそうになって。」

「嫌じゃないよ…、銀くんだから…」

「……っ」


その言葉にどういう意味が含まれているかなんてわからないし、ただ恋人に裏切られて傷ついていたところで俺があんなことして、ただ正常な判断ができていないだけかもしれない。
それでも、嫌と言わないんならこいつを俺のもんにしたい、たとえ今だけでも。


「なぁ、いいのかよ。逃げねーのかよ。本当にすっぞ」


小さく頷いたのを確認し、学ランのボタンに手を伸ばした。




5につづく。


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