それは、
偶然だったのか
必然だったのか。
ぐうぜんですね
三十路近くのオッサンが、十代後半に差し掛かり始めた少年に恋をしてしまったと聞いて、誰が笑えるだろう。
「…………誰も笑えねーよ」
自分が聞いた質問に自分で答える虚しさ。
眼鏡の少年が帰った夜の万事屋で一人考える。
「………なに、一人で喋ってるアルか。」
机に向けていた顔を上げると蔑んだ目で見てくる少女。
「ほっとけよー…。こういう時は黙って聞かなかった事にするのが大人だ。……ってガキか。」
「ほぉー………銀ちゃん、さては……、」
少女は先程とは変わってニヤニヤしてこちらを見てくる。
「…なんだよ」
「恋アルな。」
こいつ、変なとこで勘が鋭いんだった。
しかもなんか楽しそうだし。
「……だったら」
わざわざここで隠してもさほど意味は無いだろう。
「べっつにぃ―――。応援してあげてもいいアルよ―。」
「ほっとけよ――!オッサンの恋なんてほっといてくれ!」
ここで、ふと思った。
あれ?なんでこいつじゃなくて新八なんだ?
新八も神楽も年はさほど変わらないし、どうせ好きになるなら普通はこいつだろ。
性格はともかく、普通に可愛いし、何より女だ。
こいつが風呂上がりほぼ裸な格好で歩いていても別にムラムラしたりはしないが、新八がほぼ裸な格好で歩いていたら、ムラムラする。
おかしいぞ。
こいつは少しながらも俺に無いものがついてる。
だがそれは新八にはついてなく、俺と同じものがついている。
やっぱりおかしいぞ。
なんで新八?
確かに顔は姉ちゃん似で可愛いが男だし眼鏡だし眼鏡だし。
「ほんとアル!あんな眼鏡より私の方が可愛いのに!」
「ったく、ほんとだよ。なんであんなダメガ……………って何で俺の心の中詠んでんの!?」
「声に出てたヨ」
「まじでか!?どっから!?」
「『何で新八?確かに〜』からアル。」
俺としたことが……
どうすんだよコレ、上司がホモだなんて、これから目ぇあわせてくれないよ。
ギクシャクした空気になるよ。
いや、ホモじゃねーよ。
認めてねーよ。新八好きなのは認めるとしてホモは認めてねーよ。
いや、初恋も女だし、始めて付き合ったのも女だし、始めてアレやコレをしたのも女だ。
実際女のAVとか見て色々出したりしてるし……
あれ?この頃見てなくね?
そういえば最近、新八の事考えて…………。
え、やっぱり俺ってホモ?万事屋からホモに転職?
いや、違う違う。
俺、キモッ!
「神楽ァァァ!俺どうすればいいんですかァ!自分が自分でキメェよ!」
「……告白。」
「は?」
「告白アル。ほら、言ってみ?『新八、好きだァァァ!』って。」
いや、言うべきなのか?
いや、でも言いたい。
なんか声に出して叫びたい。
「ほら、言えヨ『好きだァァァ!』って」
「……す…好きだァァァ!」
「もっと大きく!」
「す、好きだァァァ!」
「もっと!」「新八ィィィ!好きだァァァ!」
ガタッ
咄嗟に音のした方を振り向く。
「………え、新八?」
そこには顔を赤くして立っている新八。
一瞬時が止まったような気がした。
いや、止まった。俺の中では。
聞かれた?
いや、聞かれたよな。外まで聞こえる音量だったし。
え、どうしたらいいのコレ。助けを求め神楽を見たところ神楽も驚いていて、放心状態だ。
「…銀さん……ほ……本当ですか…?」
「……………おぉ」
「ぐ、偶然ですね、
僕もです」
かちり、
時計の針が動いた
新しい日常が今、始まる。
終る
アンコジャム様!お待たせいたしました!
遅くなってしまって申し訳ありませんっ!
あと、話に付け加えられなかったのですが志村があそこにいたのは忘れ物をとりにきたとかそんな感じです!
ごめんなさいちゃんと話に入れられなくて。
なんかこれ、告白……ですかね?
告白ではないような気も………
お気に召さないようでしたら、
返品、いつでも受け付けます!