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お礼小話の目次(桃源郷白兎小話)
1回もふもふ薬局のある日
2回あの鬼トリオの2人組
3回あのお爺様の話
もふもふ薬局のある日
「あららら」
白澤は思わず声を上げた。
朗らかな陽射しの午前、薬草畑の傍で眠りこける白兎を発見した。
目を開いたまま伏せの姿勢になっているが、鼻がひくひくしていない。兎が眠っている証拠だ。
大方、薬草畑の雑草を食べている途中で休憩しようとして眠ってしまったのだろう。
「疲れが溜まってるんだね。」
白澤は右手でそっとお尻の辺りを撫でた。
いやらしい意味じゃない。兎はこうするとリラックスするものなのだ。
この子も例外ではなく、起きている時に撫でてやればそれは気持ちよさそうに鼻をプゥと鳴らす。
この漢方薬局、極楽満月で働く従業員の女の子。見ての通り正体は小さな白兎なわけだが、この女の子がまたよく働く。
小さな体で行ったり来たり、ちょこまかと。
店の仕事はもちろんのこと家の仕事全般まで何も言わなくてもせっせとこなしてしまうのである。
ぼーっとしているように見えて実は結構働き者なのだ。
「風邪ひいちゃうよ。」
天国は外でも過ごしやすいとはいえ、心配なものは心配。
白澤は中まで運んでやろうかとも思ったがやめた。
途中で起きてしまったらこの子は間違いなくもう寝ないだろう。
日頃の疲れからうたた寝をしてしまったのならできる限り寝かせてあげたい。
思い悩んで白澤は名案を思いついた。
「そうだ!」
言うや否や、ぽん、と音を立てて姿を変えた。
神獣としての、本来の姿。
その姿でそっと小さな兎に寄り添った。
大きな尻尾を布団代わりにかけてやる。
「なんだか僕も眠くなってきた。」
朗らかな天気に白澤の瞼もだんだん重くなっていき、遂にはすっかり閉じてしまった。
・
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「あららら」
桃太郎は思わず声を上げた。
外へ薬草を探しに行ったきり師匠が戻ってこないと思ったら。
弟子と2匹で仲良く昼寝とは。
桃太郎は呆れた溜息を吐きながら顔が少しにやけるのがわかった。
「おお、珍しく目閉じて寝てる。」
仲良く寄り添うもふもふの小さい方。
白い子兎は珍しく目を閉じて寝ていた。
相当リラックスしている証拠だ。
桃太郎はその光景にしばらく見入ってからそっと携帯をだした。
カシャッ
2匹寄り添って丸くなったもふもふの塊をしっかりカメラに収める。
こうして見るととても微笑ましい光景だ。
「ていうかこの薬局、よく考えたら俺以外全員もふもふなのか。」
桃太郎はその写真をしばらくの間待ち受けに設定してたという。
→次(あの鬼トリオの2人組)
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