※ ばか。全員ばか。
※ 風丸さん(♀/円風)・女子キャラ・照美(神)など


【 Love Lingerie 】




いわば戦闘服、と説かれるが、話題は下着のことである。
「まぁつまりユニフォームみたいなものだよね」
「……ふうん…?」
照美の熱弁はどうも風丸に届いていない。比類の無い可愛さと美貌をあわせ持つ彼女なのに、ばっさりとした性格がどちらかといえば男らしい。照美にしては珍しく親切心からの働きかけだというのに興味さえも無いようだ。
「…聞いてた?」
「…まぁ…下着が大事?…っていう意見は聞いた」
「意見?意見じゃないよ一般常識だよ!」
普段こういった照美の講義を受けさせられるのは佐久間なのだが、こちらも今回は珍しく講義の必要が無いことがわかっていた。
「佐久間でさえも下着には気を使っているのに…」
「だって…いいじゃないかスポブラだって。
サッカーやるんだし…」
「口答え禁止。君は間違っているんだから発言権は無いんだよ?」
相変わらず横暴である。わざとらしくため息をついて隣に座る佐久間を見ると、癖着いているのか照美の話を真面目に聞いていた。
「ねぇ君今ため息ついた?折角人が親切にアドバイスしてるのに失礼だな」
「頼んでないだろ。別に下着のことで困ってない」
「それだよ!」
突然叫び、机を平手で打って風丸を指差す。大きな音にびくりと震える佐久間と動じないどころか目が座る風丸。
「君は下着で悩まない」
「はあ…」
「つまり下着を御披露目する機会が無いということ」
「…はあ…」
「即ち君は彼氏に求められない…いやもしかしたら」
「………」
正直逃げたい。どうでもよすぎて眠くなってきた気もする。
しかし次に照美から発せられた言葉に目が見開いた。

「女子として見られていない」

ぎくり、と伏せていた目を横に移動する。床に座り込む佐久間の足が見える。黒いタイツが突然妙に色っぽく感じる。
「つまり?それは?」
照美の熱弁は続いている。
「女の子として魅力が足りない」
「………」
「機会がいつ来るかなんてわからないからこそ」
「………」
「気を配って可愛い下着をつけるくらいの意気込みを持たないと」
薄々思っていた事に図星をくらって言葉が次々心に刺さる。

「円堂君かわいそう!」

ついにとどめを受けてがくりと脱力。真面目に照美のふざけた話を聞いていた佐久間が力無く頭を下げた風丸に気付いてあわてて肩に手を置いた。
「風丸かわっ、かわいいよ!」
「……佐久間…」
「可愛いにあぐらかいてると色気が全く無くなるから気を付けないとなあ〜」
ね、佐久間?と釘を刺される佐久間はよくわかっていないようで首を傾げた。
「ちょっと…君わかってるのさっきの話」
「…ん?」
途端に雲行きが怪しくなる。
「なにも下着だけの話じゃないんだよ?いつも女子としての自覚を持って」
「……」
「精進しないと彼氏に呆れられちゃうよって意味で」
「からし?」
「彼氏!君いないんだっけ?」
説教の矛先が佐久間に向くが、この2人のやり取りはいつもコントや漫才を見ているようだ。
「彼氏って恋人?いないよ」
「…あれ、そうなの」
「うん」
「モテるのにね…」
中身がこれじゃあね、とイヤミを続けようとしたのに、モテる、に笑い出す佐久間に遮られた。
「なに笑ってるの君…」
「照美がボケるから」
「ボケてねえよ……」
はー、と大きくため息。
腕を組んで目をつむり、首をふって再びため息。
「あーあ…1人でバカみたい。せいぜいダッサイ下着で彼氏にあきれられるといいよじゃあね!」

この捨て台詞は佐久間にはまるで響かず、
風丸には大打撃であった。

「…佐久間、明日暇?」
「放課後?用事ないよ」
「……あとでメールする」
「えっ…メール…にがて…」
かくして月に一回の、照美の召集による女子会終了。珍しく風丸が被害を被り、焚き付けに成功したのに照美は知らない。





***

おそろしいことに続く




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