※ 三番目だよ
※ 年齢操作・一人称・ばか注意
※ うる☆やつら(ルーミック)パロディ



女遊びが激しいとか言われるけどそんなつもりない。
だって別に。惚れたの腫れたのめんどくさいし、そもそも女がめんどくさいし。

「振られたなあ」

盛大に。と付け加えて笑われる。
「うぜー」
「なんだ。当たってるだろう」
言わなきゃよかった。こんな性格曲がってるやつに…後悔先に立たずとはよく言ったものである。浮かれていたような自分が恥ずかしい。

宇宙人が消えて1ヶ月。

まさか本当に帰ってこないのだろうか。驚くほど落ち込んでいる自分が鬱陶しい。
「“ばいばい”ねえ…」
「うるさい…」
「仕方ないんじゃないか?消えろと言われたから消えたんだろ」
「……うるさい」
言わなきゃよかった。なんて格好悪いにも程がある。情けない思考回路じゃないか。どっちみち惚れてたのは間違いないんだ。
言わなきゃよかったと思うなら、明かしたことより暴言だ。
“消えろ”“バカ女”“アホ女”
馬鹿は俺だ。

振られたって、と嬉しそうに訊いてくる奴も、行方不明と知るとショックを受けて責めて責めて、がっくりと気落ちして去る。毎回言わせられる身にもなれ。
「探してやろうか」
鬼道がにやにやと訊いてくる。泣きつくのを待っているのか。悪趣味め。
「じゃあとりあえず太陽系をまんべんなく」
常識はずれの金持ちだってできないだろう。言い返して暗くなる。ださい。


子供の書いたような手紙が寮のポストに入っていた。彼女の残していったものはそれだけだ。
稚拙な文章が空しいくらいに感動させる。ただのラブレター。失踪の理由は一言も書いてない。
だいすきふどう。こういうところがすき。こういうところもすき。
俺は小さな子供から無邪気に好かれて、なんの下心もない純粋な好意を惜し気もなく与えられているような気分になった。見返りを考える歳になると、まずあり得ない愛情に思う。
初めて読んだ時には会えなくなるとは思ってなかった。けじめをつけたいと意気込んで、訳がわからなくなるぐらい考えていたのに、その上をひょいと軽く飛び越えられたような告白を受けてなんとも情けなくなってしまった。
彼女の幼い言動に、いつも余裕で構えていた。しかしなんて潔い言葉だろう。これきりよ、と言われても、それでも納得できる気がした。

『彼女飛ぶぞ』

飛び越えて行ったよ。本当に。



今となっては“宇宙人”というのも信じようと思える。鬼道が言うように飛んだ所は見てないが、人間離れしてるくらいに可愛いと思っていた自分が正しかったんじゃないだろうか。
やっぱり男の性だから、あの体が恋しくなる。可愛い体付きをしていた。下着同然で現れた時は、そうだ、天女だとか、女神だとか、らしくないおとぎ話を思い付いたじゃないか。
『地球外生命体』
ええい…いまいましい。
ため息の日々。


やがて3ヶ月が経ち、噂をする者もいなくなってきた。
手紙は何度も読み返したが、やはり探す手がかりはない。今では机の引き出しに。

唯一のことは差出人。

地球では発音できないと言った彼女の名前らしきものが、手紙の最後に書いてある。ただし発音できないくらいなのだから当然文字にも起こせなかったのだろう。謎の言語だ。
細い糸くずが布地の上を這っているような、どこまでが一文字かもわかりにくい。
「……つぎ…と、……読めなくもない」
唯一 ぽい ものは漢字の“次”。それで勝手に次子と呼び始めた。しかし呼んでも相手はいない。
むなしいことに興じているな。そう思ったら忘れようという気も起きて、手紙は仕舞うことにした。



半年過ぎて年度末。
あれは幻覚だったのだろうか。考えてみればあんなに完璧な容姿の女がこの世の中に存在するか?眼帯してたけど。

進級にあたって寮の個室は移動になる。元からそんなに荷物は無いが、衣類と書類とその他物品を乱雑に箱に詰め込んで、隣の棟の新しい部屋に運ぶ。
どうしても次子を思い出した。
穴の空いた小さいジャージ。それなのにふどうのだと喜んで着る。見つかって慌てて隠し場所を変えた雑誌類は、無くしたと思ったら棚の隙間から出てきた。
戻ってきて、ここに自分が居なかったらまた帰ってしまうんじゃないか。
馬鹿なことを考えたと思った。しかし期待はこの半年、ついぞ一度も捨てられなかった。

最後に手紙を箱の上に乗せて、部屋を出た。

引っ越しはあっという間に済んだが周囲の部屋も引っ越しでせわしない。寛げる雰囲気でもなくて、馴染みのない部屋を出た。少しの小銭をポケットに入れてサンダルをはく。寮を出ると素晴らしい天気で、あちらこちらから引っ越しの物音がする。
「ふろう!」
……ふろう?今のって呼ばれたのか?
振り替えると誰もいない。女の声に聞こえたが、ここに女は入れないはずだ。
「ふろう」
「…………」
また聞こえた。だれかおちょくってるのか?
「ひさしぶりだからうまくいえないな」
「………あいつか…?」
突飛なことだが姿を探して辺りを必死で見回した。幻聴かもしれないけれど。
「こっちこっち」
「………あ、…え…お前…!」
のんきに窓から手を降ってる。まさか、まさか、現れるとは。二度とは無いと覚悟もしたのに…
なんて…のんきに…
「たらいまあ」
「……じゃねえよ…」
まぎれもなく彼女。思い詰めた割にあっけない再会を果たしてしまった。すごく嬉しいんだけど…情緒がねえな…
「ふどう部屋かわったの?」
よっ、と窓のサッシに足をかけるが、彼女が顔を出していたのは2階である。
「危ない、なにしてんだ」
「へいきだ」
中からわっと歓声が上がる。どうやら寮生に見つかったらしい。
「あとでね」
宇宙人は廊下の奥におずおずと手を振ると、窓からふわりと降りてきた。

「…飛んだ」

それしか言えなかった。
本当に身軽に、重力なんてなんのその。ふわりと浮いて、目の前に着地。
「あきおー」
「……飛べんの?」
「…ああ、…うん。ごめん」
申し訳なさそうにもじもじとしている彼女の服は、穴の空いた俺のジャージ。そういや勝手に着て行きやがって。
「…ごめん?」
「だってちきゅうのふつうの女の子は、とばないからとぶのは嫌でしょ…」

…それで、隠してたのか。

不動は宇宙人の前に手を差し出した。話を聞いたり抱き締めたりの前に、とりあえず握手をしたいと思った。
「…おかえり」
やわらかい女の子の手が、骨張った手に包まれる。
「たらいま」
「言えてねえし」
「たあいま?
なあふろう私いきなり来ちゃってずっといたからむこうでいろいろてつづきしなきゃいけなくなってちょっともどっただけだったんだけど」
浸る間も無くぱくぱく喋られて聞き取りにくかったが何を言ったかはわかった。
「手続き……」
「ながくここにいるために、学校も行くことにした」
「は…学校?」
「ちきゅうりゅうがく」
「…まじ?そういやお前何歳?」
「14歳」
…幼いわけだ。子供じゃないか…
「ちょっとって、半年いなかったぞ」
「はんとしってなんねん」
「年の半分」
「だって何億光年はなれてるとおもってるのー?おうふくたいへんなんだからな」
「…あ、そうなんだ…」


……たくさん話すことがある。


とりあえず、散歩に行こう。







2011.04.05










***
とっちらかってたまんない。パロっつったってドゥーノヘーングァ〜?四巻収録『君去りし〜』をパロりたかったのにくそだなこれうんこ。名前の意味ないし。うんこ。苦情申し付けたい己から己への。熱烈なやつ。ルーミックもというる☆ファンの方申し訳ありませんでした………


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