月曜日の昼休み、私は生徒会室でお弁当を突いていた。
左右には同じ生徒会メンバーの面々。
玉子焼きを小さく切って頬張った時だ。
焼きそばパンをかじりながら同じ副会長の座にいる二ノ宮君が入って来た。
手にはノートの切れ端。
口をもごもごしながらも私にその切れ端を手渡す。


「例のヤツです。てか、部活ん時に訊けば良いじゃないっすか。オレに訊かずとも」


「ご苦労様でした。…まぁ、ね。部員達とのメルアド交換は厳禁なのよ。リコちゃんの許可がなくては、ね」


「スッゲー過保護。つか相田、副会長に執着し過ぎじゃね?」


「案外心地好いんですのよ?リコちゃん可愛いですし」


「………副会長も変わってるっすよね−」


切れ端にキスを施すと胸ポケットに忍ばせる。
ありがとう、と笑ってみせるとニッと白い歯を見せる二ノ宮君はさしずめ忠犬だ。
さて…早く5限目が始まってしまえば良い。
あの日、あの時のキスが忘れられないでいる。
抱かれた訳ではない、ただのキス、そう口唇がただ首筋をなぞっていっただけのキスだった。
けれど、あの様に満たされたのは初めてだった。

…嗚呼、危ない、思い起こすだけで盛ってしまえる。

妄想も大概にしなければね、テストも近いですし。
でも期待に胸は始終ドキドキと鳴っている状態で、昼休みが終わる頃には結構心臓が苦しい事に気付く。
きっと以前から知っていた、気付いていた、でも気付いて等いない振りをした。
振られたらそれこそショックだし、何よりあの位置に二度と戻れない。
いや、それは避けたかった。

だって好きなんですもの、彼の事。

…嗚呼、そうだ。
私は彼が好きなのだ。
あの掌に触れられたい、瞳に映りたい、傍にいたい、その欲求のベクトルは全て日向君に、彼に向いているのだ。
成程、告白する意図はそれを固定し定着させる関係に名前があるならば、その関係名に彼と成りたいからか。

だから告白するのか。


「納得……というより、スッキリ?」

「どしたのちゃん」

「いえ、独り言ですわ。ごめんなさい」

「自習とか珍しいよね−。何勉強する?」

「ん−…化学かしら。苦手ですし、やっておかなくては」

「んじゃアタシも便乗して化学やろ」


有難いに本日の5限目は自習。
前の席の子が話し掛けて来て、軽くお喋りをした後で取り敢えずは化学のテキストを机から取り出した。
授業開始時刻から20分、私は意を決して昼休みに胸ポケットに忍ばせたノートの切れ端と携帯を見詰めながら一つずつキーを押す。





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