よん(29/43)




それは昨日の夜だった。
洗濯物を畳みながら、iPodで音楽を聴くオマエの姿を見ていた。
ソファーに腰掛けて、斜め右横の俺の視線。
新聞を広げて見ていたものの、気になる文面をチェックし終わり何となく見ていた。
さり気なく左手で横髪を耳に掛けた時、顎のラインや首が見え、不意に触れたくなった。


背後に近付いてみるものの、それにも気付かないので腕を伸ばして、背後から抱き締めてせた。
吃驚した様で、びくり、と肩を一瞬震わせたが、イヤフォンを片方奪う様に取ると顔をこちらに向けて来た。




---何、聴いてんだよ。


---…教えません。もう、折角畳んでますのに。


---拗ねんなよ。別に畳んでいるのを邪魔しようとか、そんなの思ってねーよ。


---イヤフォン返して下さいます?


---嫌だね。


---…もう…。




奪ったイヤフォンを右耳にはめ込み、何を聴いているのだろうと思った。
すると聴いた事のない声が耳に届く。




---誰だよ、コレ。


---返して下さい。


---嫌だ、つってんだろ。つーか、こっち向けって。


---嫌ですわ。




ふっ、と首を俺から背け、イヤフォンも奪い返し、しれっとした顔で洗濯物を畳みを再開。
俺が腕を回しているのにも関わらず、冷めたもんだ。


俺は苛立ち、どちらもイヤフォンを奪い、ポイと投げた。
そして驚いてそちらに首を向けると俺と視線がかち合い、口端を上げてみせた。




---や、離して下さいっ。も


---ほら、口開けろ。


---嫌です、っ、あ…




顎を掴んで口唇を宛がう。
舌先を下口唇に押し付けて、ざらりと舐めた瞬間だった。
強い力で肩を押された。
オマエの力とは思えない程だった為、少しビクついてしまった。




---何だよ、##name1##っ




---っ…痛…




---は?




---もう嫌っ!!


私の1m以内に入って来ないで下さい!!







……
………-----









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