ご(27/43)
何でも荒れていた口唇に、ようやく薄い瘡蓋が出来始めていた矢先、俺が無理矢理キスして仕舞った所為で、傷口が開き、出血、更に舐め取った為に沁みては痛みが倍になった。
涙目の顔とぶつかると、1m以内には近付くな、と怒鳴られた。
そして、その夜は久々に自分一人でベッドに入る事となる。
「…痛そう」
「ヤダ!痛いっ。絶対に痛いわよ、それ」
「口も利いて貰えねぇ。つか、ンな怒る事じゃなくね?恋人同士ならキスしたいとか普通だろ」
「性欲ばかりで##name2##に構うからだろう」
「##name2##さん、ストイックなところありますからね」
「はぁ?彼女が目の前にいて、毎日顔合わせんのに数週間もお預け食らってみ?!
マジ、無理。我慢なんて出来っかよ。##name1##の奴、それでなくてもたまにしか許してくんねーし…クリスマス近ぇのに」
散々ぱら藤吉達から呆れた様な視線を投げられるが、流石に近寄るな、と拒否された挙げ句、口まで利いて貰えないのは痛い。
ベッドが広く感じた昨日の夜は恐怖にも似てる。
因みにその所為で寝不足だった。
「##name1##の彼氏が此処まで馬鹿だなんて」
「ざけんなよ、テメェ」
「まぁ、良いんじゃねーの?##name1##チャン、何だかんだ言って外山の事好きだぜ。きっと」
だから早く帰れ、と時計を指差す荒瀬に混じり、藤吉と伊集院も行けと頷く。
リカとホテイは餞別だとガムをくれた。
オマエが唯一、たまに口にしているラ・フランスのガムだった。
「…さんきゅ」
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