Key of Life15(16/43)






「ヤッベェ!!遅刻じゃねぇかッ」









ハンドルを急激に切りながら、抜け道を行く。
まともにネクタイを結ぶ所か、シャツのカフスや詰め襟も留められないまま。
チラリとデシダル表示の時計を眺め、舌打ちする。
昨夜は何も考えたくなく、直ぐ様寝たのだが、どうも熟睡も熟睡。
夢さえも見ない様にして、珍しく寝就いてしまった様だ。










「こっからだと…何とか間に合いそうだな」





















……
………-----









「お早うございます、外山先生」


「おー。悪ぃな。カルテ」


「いえ。ぁ…ネクタイ曲がってますよ。髪もボサボサだし。そんなに急がなくても良かったんじゃないですか?」


「ん〜…ちょっとやり残してた事あってな」





「昨日、緋櫻さんと…何かあったんですか?」


「ねぇよ。四野宮(シノミヤ)、あんま心配とかすんなよ?俺と##name1##は終わった。まさか昨日会うなんてこれからの人生の予定にはなかったけどよ;


つーか、明後日…四野宮が担当してる坂井さん」


「あぁ、ハイ」











北洋は、中々人事異動も少ない。
看護師達も勤めやすいのだろう。
四野宮は俺の過去…といっても二年前の過去だけだが、知っている看護師だ。
オマエの担当でもあったから尚更だ。
俺は机に詰まれたカルテやオペ記録に目を通し始め、熱い珈琲を咽喉に流し込む。
目が覚めるのは早い為、考え事も正直したくなく、仕事に没頭し出す。
朝の申し送りまでは時間もない。
















愛してた
その涙さえ





ぬぐえない
この胸の奥






愛してた





その涙さえ














「…バイト……」













私は…あの日から数回北洋に来ていた。
あの日、微かに記憶しているのは、彼がとてもカナシイ顔をしていた事。




謝らなければ。
一言でも、謝らなければ。






驚かせてしまった事を。




何度が足を運ぶ内に、姿を確認しては背中ばかり追った。
結局、足がすくんで呼び止められず…そのまま。
今日も出入り口のベンチで、溜息を一つ零した。
圭介に外出している事が知れれば、また心配を掛けるだろう。
苦笑を浮かべれば、薬の時間を携帯のアラームが告げる。
電子音と時刻。
私は諦めを滲ませ、立ち上がると中の売店に足を運ぶ。
ミネラルウォーターを一本手に取ると、不意に飛び込んだ貼紙。
その貼紙の前に近づくと、指先で文字を追った…。













「あの……未だ募集は掛けられておりますでしょうか?」


「えぇ。アタシがねぇ、他にも掛け持ちしてますから。此処だけじゃねぇ…」


「面接、受けさせて頂きたいのですが…-----」




















……
………-----

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