Key of Life13(14/43)
『如何して…私は私の命を絶とうとしたのでしょうか。
圭介がいてくださるのに…
如何して-----?』
退院間際、俺は精神科医から地に堕とされる単語を耳に入れた。
---記憶障害がみられる様です…。
特定の人物だけというのは…
キズ付けられた事すら、総て。
俺は腹を抱えて、思い切り笑った。
大きく、まるで狂った様に声を上げる様にして笑ったのだ。
思うに、俺が殺した様なものか。
だったらいっそ殺そうか…-----
幾度となくそう思う。
俺ではない男の腕の中で、愛でられ幸福せになるというならば…。
傘をさす気は起こらず、髪から何度も雨水が零れる。
冷えた身体は痛い程に寒さを誘うが、雨を拭う行為すら億劫だった。
あの時、藤吉が来てくれなければ俺はオマエを殺していたのだろうか。
如何して抱き締められなかったのだろう。
怖かった。
これ以上、オマエが壊れる様で…。
自分で壊しておきながら、その反動は予想を遥かに上回っていたらしい。
自分がキズ付けたなんて、信じたくなくて。
大事にしていた"つもり"だった。
だが、つもりはつもりで…全く浅はかにも程がある。
「##name1##、悪ぃ…。出逢って………
ごめん、な-----」
壊れない過去
綺麗な思い出
心の中に並べて
泣いていた。
車の中に乗り込み、やる瀬ない思いを歯軋りしながら…。
交差点のランプが点滅する様(サマ)、濡れながらも必死に過ぎる人。
それ等がぼやける中で、俺は車を走らせた。
もう、充分だ…
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