key of Life10(11/43)







強くない##name1##なんか要らねぇよ。










叫びそうなっていた言葉だった。
あの時は、今までのオマエはただ俺にひたすら尽くして尽くして…。
俺はそれに気付かずにそれが"##name1##"だと勘違いしていた。
笑ったり、笑ってくれたり、笑って……











馬鹿だな、…俺。










あぁ、ホラ。
思い返せばいつも笑ってばかり。
表情なんて何にもない。
俺が全部吸い取って、搾り取って…カラカラになってしまってたオマエ。


ようやく見せたサインも見落として、置いてきぼり喰らわせた。











「如何かしら」







「……は?」








「確かに、女の子はキズ付いていたのでしょうけれど…。悲しかったのは、女の子がちゃんと男の子に着いて行けなくなった自分自身ではないかしら。




忘れるだなんて、絶対にないわ。




私が女の子ならば、絶対にない-----」


















戻る場所が
ここではなくとも










忘れる事は





ないだろう




















「俺、彼女がいたんだよ」




「まぁ…。けれど"いたんだ"という事は…」




「そ、過去にな。付き合う時さ、そいつ俺に言ったんだよ。凄ェ綺麗な顔しててさ、俺の名前呼んでくれて…」
























オマエの中等部の入学式のあの日。
帰宅した俺は呼び出されて、「お花見致しましょう」と腕を引かれた。
初めて強引なオマエに面食らって、ドキドキしたんだよ。
その顔は嬉しそうで…黒いマキシ丈なワンピースが、歩く度に、風に誘われる様にふわふわ裾だけをさせていた。
急に立ち止まってクルリと俺に振り向いたオマエは、悪戯に笑って…帽子を風に飛ばされない様に指先で押さえる。
俺は桜の花吹雪が欝陶しくて仕方なく、瞳を細めた。
その日は風が強かったのだ。










『ンだよ…どうせならもっと陽の当たる場所の方が良いだろ。花見すんならよ』


『此処ならば奥地で、滅多に他人が来ませんもの。誠二さんだって、他人が加わるとお好きではないでしょう?』


『まぁな。他人なんでウゼェだけだしよ。けど、##name1##にとっちゃ寒いだろーが。薄着で………






##name1##?』











急に目の前にあった階段を駆け登る。
8センチ以上あるピンヒールも、履きなれたオマエは意図も簡単に。
俺は慌てて自分も追う様に駆け登る。












『待てよ!走んな##name1##っ。身体に障んだろーが!!


オイっ、##name1##』





ピタり-----






『ハァ、ハァ、…はぁ。っ、コホッ。ハァ-----。





こんな時間…久し振りですわよね。誠二さん』


『馬鹿!急に走りやがって…。発作とかになったら如何するつもりだよ』


『大丈夫ですわ。誠二さんがいますもの』


『あのなぁ;未だ医者じゃねぇんだよ。ったく…』


『私、ようやく中等部に上がりますわ。ようやく…』










その言葉自体に安堵の色を浮かべたオマエは、俺を真剣に見詰めて来た。
その絡め取られる視線は強く、奪われる様にして俺は立ちすくんだのを覚えている。
その瞬間、一歩ずつ近付くオマエに胸は五月蝿い程に打っては高鳴るのだ。




一瞬、風が髪を掠って…。











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