JG/00 | ナノ


  Last:唐突に終わりを迎えて次のステップへ。





「ひょいっとな」

「後28゜右上ですよ?実井さん」

「チッ……三好の癖に」


三好さんが何やらあっけらかんと言い放った言葉、いや、言った後で戯けたように肩を竦めたので、ボク、実井はイラァッとして、神永…コホン、違いますね、あのチャラ男に投げたボールペンを拾って、三好さんの目玉を狙ってやった。
どいつもこいつも無駄に避けやがって。
態々拾わなくても未だボールペン位あるだろうって?
知ってますか、チャラ男がキャバクラで注ぎ込んだ金額を経費で落とすものだから、D課は経済危機に直面しているんです。
この童貞ナルシストも叙々苑の代金を経費で落としやがったから、ムカついて鼻に冷麺突っ込んでやりました。
ハン!ざまぁっ!

ボールペン1本を馬鹿にする奴はボールペンに泣くんですよ。
つーか、泣けや。


「童貞なのを暴露してくれたのは良いけどさー、今まで付き合ったコとはピンクな雰囲気にはならなかったのー?」

「ピンクな雰囲気ってオジサン臭くない?甘利。オレ達未だ未だピチピチじゃんかー」

「どちらにせよ、甘利も神永もオッサンだろ」

「童顔ヤリチンに言われたくねぇし」

「はぁあぁっ?!テメェ、神永、表出ろよ」

「そうやって暴力で解決しようとするの単細胞って言うんですぅー。…チビで童顔で単細胞ヤリチン!」

「キメセクじゃなきゃ勃たねぇオヤジよりマシだね!無駄に発射させるしか無い相手ばっかりやってると、後で痛い目見るからな?神永」

「やれやれ…どちらにせよ、波多野さんも神永さんも穢れ切っているんですね。今後一切、僕と彼女に近付かないでくれますか」

「…神永、如何やら一番の敵は童貞ナルシストの三好らしいぜ」

「あぁ、共同戦線だ。2ピーな癖に童貞で女の子とお手ても繋げない三好クンの息子なんかじゃあのお姉さんは喘ぎませんー。まぁ?オレ達のテクだと可愛いーくアンアン言わせられるけど!な、波多野?」

「な、…!彼女はそんなはしたない女性じゃない!それにっ、神永さんのは何処の馬の骨かも判らない女に突っ込みまくった穢れた息子じゃないか!そんな誰彼構わず突っ込んだ汚ならしい物を付けたままで彼女の前に姿を見せるだなんて、気持ち悪くて気持ち悪くて…」

「確かに、神永さんのはきったなそうですね。そんな汚い物をぶら下げたまま生き恥晒して」

「神永、穴があったら何でも良いタイプだろ?何か…そう考えたらオマエと共同戦線は張れねぇわ。オレもアイツ一本って決めてるし。ワリ!」

「あ、じゃあボクと組みますか?波多野さん」

「実井と?あ、まぁ行けるか」

「兄弟みたいにして迫れば緋櫻さん、きっと母性本能目覚めてそっちに持ち込めますよ。姉弟多いですし。兄の位置は波多野さんに譲ります」

「マジ?じゃあさ、オレ未だアイツと知り合えてもいないからさ、実井が仲介に入ってオレの事紹介してくんない?」

「波多野さんなら構わないか…。じゃ

「しゃーらっっぷ!!」

………三好、煩い」


散々な神永さんは放っとくとして、意見が合致した波多野さんと共同戦線を張る協定を結ぼうとプライベート用のスマホを取り出したボクに、割り込み叫んで来た三好さんがボクの手からスマホを叩き落とす。
マジ、後で殺す三好。


「波多野さんと兄弟と見せ掛けるならば僕が入っても問題無いだろ」

「…三好さんも?」

「彼女だって、選べる選択肢が多い方が良い筈です。女性は色んな物を少しずつ全て食べれるスイーツバイキング等が大好きな生き物ですからね。綺麗目な僕に中性的な実井さん、生意気そうな波多野さん。秀才な僕に柔和な実井さん、ツンデレな波多野さんと三人揃えば彼女だって落ちるでしょう」

「まぁ、確かに。女性は我儘な生き物ですしね」

「強(アナガ)ち間違っちゃないけど」

「でもさー、君達、結局のところ弟止まりに成りかねないよー?ね、神永」

「ハッ!そうじゃん!お前ら所詮170も身長ねぇじゃんか。あのお姉さんの隣立ってみろよ!やっぱ無いわーって思われんのオチだかんな!」

「「「………はぁ?」」」

「君達三人が並んでいるより、俺と神永、田崎が並んでいた方が見映えはするよー?それに30過ぎてるレディには、君達はガキに見えるんじゃないかなぁー。」

「そうそう!弟ポジから離れられず、お姉さんは甘えられず疲れ果てて終わりじゃん?甘えられるのがカワイイーなんて一時だからな」

「それは僕の力でどうとでもなります」

「いや、無理っしょ。三好、オマエが一番ナルシストなんだから甘える時点でアウトだろ?甘えるなんてプライドが許さないだろ?実井は兎も角、波多野も無理無理!」

「「甘えるのと媚びるのと情けなく縋るのは違うからな」」


「…なぁ、実井」

「あ、漸く会話に参加しますか?福本さん」

「仲が良いのは良いが、結局の所、彼女と知り合えているのは現時点でお前と田崎だけなんじゃないか?取り合うのは良いが」


「「「「あ………」」」」



ギャーギャー低能な言い争いを勃発させている神永さんに波多野さん、三好さんに一歩だけ引きつつも会話に参加している甘利さんの声も重なる。
そう、福本さんの指摘通り、貴女、緋櫻さんとやり取りが出来るレベルにいるのは僕と田崎さんだけだ。


「やっぱり誰とも組まずに一人で落とそうかな」

「は?ちょ、此処まで来て紹介してくれないのかよ?実井っ」

「だって面倒になって来たじゃないですか。さっさと出会えよお前等」


顎でしゃくってみせると、ぐうの音も出ないらしく、途端に四人とも萎らしくブツブツ言いながら神永さんは一般人の女の子と喋るのとか喋り方忘れた、甘利さんは俺なんてコブ付き同然だもん、波多野さんはあんなフワフワした店を跨ぐなんて、三好さんは喋れたら…あ、鼻血出してる。
とちらにせよ、さっきチビ呼ばわりした神永さんは滅するとして、あ、三好さんもだ。
余りの不甲斐なさに些か哀れみが生じる。


「しっかりして下さいよ。それでもD課ですか」

「……喋れれば…」

「喋れればあんな事もそんな事も出来るんですよ、三好さん」

「あ、あんな事?!」

「まぁ、あんな事です」

「俺、キャバ嬢にしか相手されないもん…」

「だったらキャバ嬢に同伴して貰ってカフェに行けば良いじゃないですか、神永さん」

「おお!?実井クン、頭良い!」

「あんな、何かふわっふわした如何にも女子ー!みたいな店をオレが…いや、マジで…」

「もう、終わるの待ち伏せしておけば良いでしょう、波多野さん」

「そんなストーカーみたいな事!」

「紙一重です。通報されないように気配消せば良いんです」

「ぁ、確かに」

「で、甘利さんは」

「え!?俺は未だ何も言ってないよ?実井」

「言うだろ、どうせ。まぁ、甘利さんはエマちゃんに協力して貰って下さい。あの子は優秀です」

「ぇー、そりゃあウチのエマは可愛いですけどー!すっごく優秀ですけどー!」


「兎に角!期限は3日。それまでに出会って、メルアド、LINE、ケー番位までは交換して来て下さい!じゃないと話が進まないんだよ!どんだけ引っ張るんだよ!さっさと出会えよ!とっとと出会え!ホラ、解ったら行動!グズグズすんじゃねーよ!!!」


「「「「は、ハイ!!!!」」」


パンパン!と手拍子すれば、四人の愚図共が盛大に頷き、会議室を飛び出して行く。
ドカリとパイプ椅子に座り込めば、タイミング良く冷たい緑茶。
流石、気が利きますね、福本さんは。


「良いのか?」

「良いんです。拉致が開かないので。次からは出会ってある程度経った体(テイ)で話を進めます。福本さんに小田切さんも、勿論、佐久間さんも出会った体で進めますので宜しくお願いしますね」

「色々と端折(ハショ)り過ぎやしないか、実井」

「……ボクだって、そろそろ緋櫻さんとイチャイチャしたいんですよ」

「そうか。苦労するな」


さて、期限は3日と言ったが、彼奴等は出会った。
もう、出会った体で進める。
季節だって変えてやる。



「じゃあ、梅雨は端折って夏だな、実井」

「ボク的にはそこさえ端折って冬に行きたいですけれどね」

「夏、色々あるぞ?」

「夏の恋って保たないじゃないですか」

「…何だかんだ、センチメンタル抱えているんだな、実井」

「ボクだって、ロマンチストだったりしますよ?福本さん。てか、夏に彼奴等が花火と共に玉砕した体で進めるシナリオで良いでしょ」

「…そ、うか…」


色々と端折って次のステージに進むよ☆


fin…xxx
2016/07/26:UP


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