05:桜ん坊の話題か二十歳overの話題か
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ラブストーリーは必然に☆なんて甘利が言うから、俺、神永は気持ち良〜く歌っていたのに、波多野に怒られた。
BGM、大事じゃん?
オレの歌声評判よ?シャララ中毒者出てたよ?
つーか、波多野の奴、最近ホンット口悪いよな。
福本に怒って貰おう!そうしよう!
「「「「「………は?」」」」」
実井が言った一言に声が重なった。
こんな所でシンクロしなくてもさー。
出来れば女の子とベッドの上でシンクロしたい。
キミと!お姉さんとシたい!
「緋櫻 xxxさんでしょう、って…え、未だ皆さん知らなかったんですか?存在知ってから半年以上経つのに?
…ダッサ!」
マジで有り得ないんですけど?な、上から目線でオレ達、めっちゃ見下されてるんだけど!?
仕事では三好のチェリーボーイに見下されるけど、何でプラベになったら実井なの?
アイツ、まさかの二重人格かよ!いっつもそうなんだよ…。
ハッ!ちょ、え、知らなかったのオレだけじゃないよね?!
「貴方だけですよ、神永さん?」
「心読むなよ!実井っっ」
「実井ー、あのレディとはいつから?」
「三ヶ月は前からですね」
プライベート用のiPhoneを取り出し、一瞬ではあるけれど、普通にやり取りしているLINE画面を見せられ、ぐうの音も出ない。
物的証拠には、まさかのキミの写メまで載ってた。
「今日のパンツスタイルも提案したのはボクです。因みに、朝からコーデ写メ貰ってましたから。それでも、やっぱり本物の方が数倍綺麗ですね、緋櫻さん」
「凄いねー、もう名前で呼び合ってるの?」
「まぁ。でも意外です。童貞の三好さんや波多野さんならば兎も角、甘利さんや神永さんが知り合えてないなんて」
「誰が童貞だって?!」
「え、波多野も童貞だったんだー。知らなかった」
「三好はさー、チェリーだって思ってたけどな、オレも」
「はぁ?いや、オレ違うけど。三好は童貞かも知れないけど。だって、オレ、初体験12だかんな」
「「「12っ…!?」」」
うっそー!
流石にオレに甘利に実井って、声が被った。
実井なんて、開いた口が閉じないでいる。
普段、そんな事ないのにな。
いやさ、確かにオレ達もキミに対して奥手になり過ぎてんなーって思うよ、うん。
でも、オレ真面目だからさ、エミリンにもミユミユにもリナたんにも愛情あげなくちゃなのよ。
モテる、って辛いよな?
というか、奥手にもなるんだって。
だって、キミ、未成年じゃん?
「緋櫻さんは未成年じゃありませんよ、神永さん」
「だから!平然と人の心に土足で踏み込むの止めてくんないかなぁ!?実井っ。
……え?あのお姉さん、未成年じゃないの?マジで?」
「神永、それは無いでしょー」
「それより、波多野さんでしょう。突っ込むべきは」
「何でだよ。オレだって女と寝た事位あるよ。数有り過ぎて、あんま覚えて無いけど。年下、年上、JK、JD、人妻…か」
「まさか波多野さん、現在の時点で女子高生や18歳いや、寧ろ20歳以下に手を出しているんじゃないでしょうね」
「だから、12の時だっつってんじゃん。今は無い。好きな女、いるし」
「ぇ、なぁなぁ、甘利。あのお姉さん、未成年じゃないの?成人済みなの?」
「神永さんもバカですか。未成年が平日朝から店に立つ訳無いでしょう。本当にバカですね。自分でお姉さんとか言っておいて、相当なバカだったとは」
「一言多いんじゃないかなぁ!?実井クン?通信制だったり、夜間の定時制だったりするかも知れないだろ!」
「話題一つに絞ろうよー。二人の童貞疑惑かレディの話題か。仕事じゃないのに、こんな所でマルチタスク発揮したくないよ?俺」
さて、此処で葛藤だ。
波多野がまさかの手練れ、つか12歳で初体験済みなのも、人妻どんな感じなのかも知りたいけど(オレ、大概キャバ嬢にしか最近相手にされない…切ない…)、お姉さんが未成年じゃないならば、イケるのでは?
寧ろ、いっちゃうべきでは?!
「と、言うか、皆さん"最初から知ってる"でしょう。緋櫻さんの事」
「何だよ、その言い方。え、神永も甘利も知ってた訳?」
「いや、オレが知ったのは5ケ月前だし」
「俺もエマの迎え行って、偶々入ってからだったから、神永と同じ時期だなー」
「オレも半年前」
「…本当に"憶えて"いないんですか。あんなに、ねぇ?…ま、良いか」
「てかさ、てかさ!実井!お姉さん、未成年じゃないなら何歳?」
「31歳です」
「「っごほ…!ゲッホ…っ!!」」
「へー!童顔だねぇ。31歳か。あ、じゃあ結婚適齢期だなぁ。早く婚姻届出したいなぁ」
「一人だけぶっ飛ぶなよ、甘利。ぁー…でも、アイツ、あれで31かよ。詐欺だな」
「オレ、16とかどんなにアレでも18歳だと思ってた…。え、じゃあ別にどんだけ手を出しても良いじゃん?ホテル連れ込んでも全然オッケーじゃん?
良し、狩り(ナンパ)にイくか♪」
「一狩り行こうぜ!なノリで犯罪起こすなよ、神永。オレ達の職業ガン無視なのな、オマエ」
「ぐェっ、ごほ、ゲホ…っ、波多野!」
自分の口から蛙が轢かれた様な、潰された声が出た。
波多野のヤツ、思い切り首根っこ掴みやがるから、息止まるかと思うだろ?!
波多野、チビの癖に力だけ強いんだ………
「誰がチビだって?神永」
「チビなんて言ってごめんなさい」
でも、チビには変わり無い。
変わり無いじゃんかー!
屋上から全国民に訴えてやるぜ!
波多野はチ
「五月蝿い、神永。そのまま真っ逆さまに落ちろ」
「グッジョブ!実井っ。そのまま突き落とそうぜ」
「いや、さっきからマジで酷くない?実井クン」
「あれー、何ででしょうね。アハハ!本音は隠せなくって」
ニッコリ。
悪意滲ませまくりな笑顔を向ける実井に、屋上から飛び降りろとボールペンをダーツ宜しく投げられる。
いや、目玉!眼球狙ったろ?!
それがハードだと、マジでオレの目が死んでたからな。
ビクビクしながら咄嗟に避ければ盛大に舌打ちしやがる。
何か、最近オレの扱い酷いんだよ、皆。
「てか、三好は?童貞扱いされたのに大人しいじゃん」
「確かに、大人しいねぇ。三好ー?」
「三好さん、何を神妙に考え込んでるんですか?」
「アレじゃん?チェリーボーイなの図星でハズイから話題に入れないんだろ?三好」
四人で盛り上がっているにも関わらず、三好のヤツ、珍しくからかわれているのに突っ掛かって来ない。
腕を組み、一度天井を仰ぐとオレ達にキョトンとした目玉で口にする。
「まぁ、僕は童貞でチェリーですけど、そこは恥じてませんが?」
「「「「……………」」」」
つづかせ、たいです。
2016/07/10:UP
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