くりあなだいきらい


大嫌い、そう口にしてみたら案外すっきりと頭が本当にクリアになった。
あらゆる疑問が解き放たれ、オレは自由になった。
DVDはリピートエンドレス。
身体が揺れ、貴女は声に出さず口唇だけで流れる歌を歌う。
吐息混じりでラブソングを歌う貴女。
その貴女を見下ろす度に、大嫌いと見付かったこの答え。
フローリングに座り込む貴女、ベッド縁に座り込んで見下ろすと、どれだけ貴女の髪に艶があるのか思い知る。


小さく喜声を発した貴女は自らの指を組み、にっこり満面笑顔。
段々と苛立ちが募り、リモコンを掴んでいたのだ、気付いた時には。
驚いた様に真ん丸の瞳でオレを見詰めて、如何して、と小首を傾げては徐(オモムロ)に伏し目がちになり俺から視線を剥がした。



不愉快極まりない。




「大っ嫌いだ…ッ!!xxxサンなんて大嫌いだっ」


「……涼太、く…ん?」


「いっつもいっつも映像、雑誌、待受。ちっともオレを見ようとしない。何で?何でっスか?ねぇ、オレの事好きなんじゃなかったんスか?だから隣のお姉サンから彼女になってくれたんじゃなかったんスか?


何でオレばっかりxxxサンが好きなんだよっっ!!」




言ってやった、言ってやったんだ。
歯軋(ギシリ)りする程の憾みをありったけぶつけてやった。
もう我慢の限界だったのだ。




「涼太君は、同情して私を抱き締めて下さったんだと思ってました」




静かに的外れな言葉を放つ貴女。
餓鬼(ガキ)じゃあるまいし、ベッドにしがみ着く様にして潜り込むと、次の瞬間にはギシリとしなるスプリング。
乗り上がった貴女がゆっくりゆっくり俺の頭を撫でて、静かに告げる。




「映像も画像も、生身の涼太君を感じるのは…少し怖いんですの。


いつか私の手の届かない程に、更に良い男性に成るでしょう?…私、置いていかれそうで…」


「そんなの…ないし。てか、オレは早くお姉サンに追い付きたくて仕方ないス。


俺を置いてかないでよ。雑誌とかに逃げないでよ。ムカつくから…」



大嫌い、そう口にしてみたら案外すっきりと頭が本当にクリアになった。
あらゆる疑問が解き放たれ、オレは自由になった。
オレが嫌いだったのは、オレを見ない貴女。




オレ、お姉サンの事大好きなんだよ。




fin…xxx




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