しろいかくしんはん


女の子の涙を止めるには、甘い言葉に優しい言葉、ふわふわの真っ白い生クリームの苺のショートケーキに、小さくても構わないからミルクチョコレート。


けれど私が好きな物は所謂フェイク。
携帯に手鏡にペンケースに勿論DSも。
シリコンで出来た生クリーム等をデコレーションするだけで笑顔になれる。
因みにそれがお仕事。


だからオリジナルが好きな訳ではない。
食べてしまえば泣く羽目になるのだから…。




「あっま!!」


「ねぇ、言葉遣い変わってるっスよー、xxx」


「本物の生クリームがこんなに甘いとは数日振りに思い知ったわ」


「甘い物は女の子の特権だと思うっスよ?」


「私の恋人が貴方である事事態からして間違いの第一歩だわ。黄瀬涼太サン」


「うっわぁ…冷たい瞳(メ)。仮にも彼氏なのに…オレ」


「膝抱えても、余り可愛らしくない事をご存知?ホラ、仕事の邪魔なさらないで」




依頼されたフォトフレームに施すデコレーション。
桃色のシリコン生クリーム、イエロー、ブルー、ピンクのマカロンにチョコサンドクッキー。
ピンセットに接着剤はお友達。
仕事の途中で突然、彼は合鍵で入り込み、ケーキボックスを真横で広げる。
キラキラした瞳で私を見詰めるものだから、ああ…と手慣れた様にミルクティーとお皿にフォークを差し出した。
因みに砂糖はお好みでどうぞ、が基本な為に彼は好みの数をポチャンとカップに落とした。




「…オレさ、xxxのデコる時の顔好きなんスよ」


「貴方の告白は聞き飽きたわ」


「流行りのツンデレ!もーぎゅってしたくなるっスよね、xxxは」


「接着剤付けられたくなければ、今から追い出されたくなければ、嫌われたくなけ……


何ですの?コレ」


「テディベア。xxx、好きでしょ」


「………好き…」


「ほら、そのぬいぐるみギューってやっちゃうxxxが好きなんスよ。オレ。ね、オレの事が嫌いなんて嘘でしょ」


「黄瀬涼太サンは嫌いデス」


「とか何とか言って、しっかり生クリーム舐めてくれるんスよねー。


美味しい?」




縫いぐるみも、好き。
彼は確信犯であり、指先で生クリームを掬い取り、にこりと微笑む。
本物の生クリーム…は、苦手。






じりじり指先を私の口唇に近付け、あろう事か太股に忍ばされるもう片方の指先。
デコレーションを中断すると、折角くれたテディベアを私から奪うとポイと投げやってしまう。
ぁ、と口を開いたが最後、白い甘い甘いクリームが口腔に詰められる。
ニィ…っ、と彼の口角が釣り上がると同時に急に態度を変える。
散々悪態吐く私と可愛らしくいじけてみせていた彼が形勢逆転…。




くちゅ、-----





「ね、xxxも好きっスよね。オレの事」


「っ、ふぁ……ンンっ」


「口移しもイイけど、オレこうやって指突っ込む方が好きなんだよね。xxx、エロいんスもん。


ホラ、ちゃんと舐めてご覧?オレの指」




ちゅ、ぴちゅ…




ふぅ…っと首筋に吐息を吹き掛けられ、逆らえずに舌先伸ばして彼の人差し指を舐めて、しゃぶって、また舐めて。
その間にもするすると膝から太股へと這い上がる指先はストッキングを軽々と破り、ショーツの上だ。


的確に一点だけクルクルと指の腹で撫でられて、じんわり熱を点し始める私の身体。
視線が痛くて逸らすと、するりとショーツの中に指先を入れてくるものだから、びくりと身体が震えて小さく彼の指を噛んでしまった。




「痛いっスよ。xxxは気持ちイイだろうけど、オレは痛かったなぁ?


ほら、今度はオレの口唇でしょ。おいで、xxx#」




女の子の涙を止める物は甘い物、だなんて誰が言ったのかしら。
毎度の如く、ケーキやらチョコレートやらを持ち込んで私の身体を淫らに貪るこの彼の所為で…私は甘い物が嫌いになる。
癖になるでしょう。




「xxx、エロいっスもんね?」




勝ち誇る様に満面の妖笑に今日は完敗、だ。





fin…xxx




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