あい は ない は あい


毎週、いや…ニ、三日に一度は訪れてくれる貴方の心境など、知らないの。
私がただただ、貴方を無視して好きになったのだから、伝えても一方通行で構わなかった。
伝えようとはしなかった私は貴方に恋してるだけで良かったのよ。
一方的な愛で構わなかったのに…如何して貴方はそんな私を愛するのかしら。


私はそんなの望んでいないわ。


貴方が「付き合おう」だなんて言うから、私は首を横に振った。
貴方は諦める筈だと踏んでいたのに、私を面倒臭がって、金輪際近寄りもしなくなるだろうと踏んでいたのに…如何して。
伝えれば伝える程、貴方は私に近付く。
それは嫌だった。
一方的で相手を思いやらずに済む恋だったのに。
貴方は簡単に私を愛して仕舞った。
貴方が好きよ、愛しているわ、でも、貴方の気持ちは要らないの。




「今吉さん、私達…


「今日な、一緒に昼飯食べよう思って買って来たんや。xxxも食う?此処の唐揚げめっちゃ美味いで」


…帰って?如何して来るんですか、ねぇ、私…」




貴方から愛される度、その愛情は要らなくて捨てる様にして、指を咽喉奥に突っ込んでは胃を空っぽにし出した。
胃の中は空っぽの筈なのに、貴方が愛情を口にする度に、心臓を打ち砕かれる様で、吐き気ばかりがし出した。
貴方は目の前で市販のお弁当と別に買って来た唐揚げ、熱々の唐揚げを頬張る。
そんな貴方が「熱いから気ィ付けや」だなんて言いながら、私に半分食い千切った唐揚げを指先に持たせた。
戻すにしても、何か入れてた方がラクだろうから、という理由でだ。
私は恐る恐る口に運び、ちびちびと噛み付いた。
そんな私に微笑む様にして貴方は言う。




「な?美味いやろ」


「……美味しい…」


「なぁ、xxx。外泊許可貰って…そうやなぁ、むっちゃ寒いけど、海、見に行こか。気分転換せな、気が参るで、此処」


「ぃ…ゃ…。ねぇ、今吉さん、私…貴方に愛してると言われても無理なの。貴方を受け入れるだなんて…無理なの…」




「でも、xxxは愛してるんやろ?ワシの事」




「愛しているわ。でも、それは一方的で良いの。伝わらなくて良いのよ。


今吉さんに愛して貰わずとも…構わないの」


「せやけど、仕方ないやん。ワシはxxxを好きになってんねから。

何で駄目なん?」


「お願い…もう、帰って?一人にさせて。一方的でいさせて…。ね?今吉さん。


そして二度と来ないで…」




「……それでも、ワシは愛してるで、xxxの事」




耳を塞ぐ様に掌を宛てがっていたら、貴方が優しく手首を掴み、耳元で呪文の様に囁いた。
その「愛してる」は酷く重たくて、私はわぁっ、と泣き叫びそうになるが、手を離されて視界がクリアになる時には貴方はいなかった。
慌ててドアを開き、真っ直ぐ前を見ると、貴方の背中。
私はその背中を一心に見ながらほぉ…っと満ち足りた気分になるのだ。
見ているだけて満ち足りた気分なのだ。







fin…xxx




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