さーん…U side.… 無理矢理腕を引かれ、高層ビルの最上階とまでは言わないが、ある程度、既に足が竦む程の高さにまでは到達している。 色白…とんでもなく色白な筋肉質なその腕は私の手首を痛い程に握られ、有無を言わさずに引っ張り、此処まで連れてこられた。 手持ちのタオルで取り敢えず顔だけは拭き、引っ張られるままに歩いた。 お気に入りの真っ白いブラウスと真っ青のタイトスカートは赤黒く染まり、パンプスも見事に歪なドッド柄の様に血液を吸って仕舞っている。 呼吸だけは脈は速いがどうにかこうにか…出来ている。 人生の四分の一も生きてはいないが、自分の責任は自分で負い、更には結婚をしていても可笑しくはない年齢だが、目の前の人物の様な人間は初めて見る。 サーカス…そうだ、サーカスの道化師、若しくは奇術師、トランプのjokerの様な身なりをしている人物。 腕を引っ張り「おいで」の三文字で此処まで目の前の彼は一言も発さずに私を連れて来た。 オートロックらしいビルの一部屋が、この彼の自宅なのだろうか。 私は慌ててパンプスを脱ぐと彼はようやく腕を離してくれた…。 「シャワーを浴びると良いよ。後、荷物はこれだけかい?そのソファーに置いておくから」 「あの……すみません…」 「血だらけにしたのは僕なのに、君が謝るのかい?」 「…お手を煩わせて仕舞っている様なので、その……」 「君、名前は何て言うの?僕はヒソカ」 「ぁ…xxx、xxx・***と申します」 「ふーん。じゃあxxx、シャワー浴びておいで。それからだ」 「…すみません…」 「また謝る。君は謝る事が好きなのかい」 「……すみません…で、ですがシャワーはお言葉に甘えさせて頂きます」 「堅いねぇ。まぁ良いや」 予備として持って来ていた下着をバッグから慌てて引っ張り出し、そして洋服に着替えるべきかパジャマで良いのか一瞬迷ったが…空も更けて夜になっている為に出て行けとは言わないでいてくれるだろう。 幾ら不思議な方でも、だ。 意を決してパジャマを掴み、いざバスルームへ…。 「あの……」 「ん?」 「バスルームは…その、どちらですか?」 「ああ、右だよ。連れて行くが早いか」 「…すみません…」 この方には謝ってばかりだ…。 Next→ next back |