夜明け前は真っ暗だ/狩人 | ナノ


01…U side.…



至って普通の人間だと思いたい。
死にたがりの生きたがり屋、だなんて一年前に一度だけだ。


私は大阪にいた。
初めての大阪、大好きなアイドルグループのライヴを観に来ただけだ。
数年振りに会う親友…否、神、信、深…嗚呼、漢字とは何で魅力的。
私とそのコを漢字で表すのは、未だ少し未来の話だろう。
取り敢えず、夢もある。
精神的に少し今は可笑しいらしいが、自分では至って普通のつもりだった。


帰りの新幹線。
様々なグッズの山と二泊三日の荷物に、ショッピングも楽しんだので洋服の嵩(カサ)張りが目立つショップバッグも2つ程。
滅多にショッピングもしない私はここぞ!とばかりに楽しんだ後だ。
流石の量の荷物に頭を抱える程悩んだが、大切な物!!と思えば持てない事もなく、私は気合いを入れて両手の荷物を抱えていた。


人生数度目の新幹線に乗り込んで、後数分で出ると携帯で慣れた指先でメールを打った。
親友は酷く心配してくれる程の方向音痴だが私は何とか乗れましたーとメールを一通。


さぁ、到着するまで小説に更け込もうとお気に入りのカバーを掛けた小説を開いた…。






……
………------





暫く耽り、周囲りを気にしていなかった。
だが、不意に窓を覗き込むと明らかに景色が変わっていない事に気付いた。
未だ駅内部の景色だ。
携帯の時計を確認しても発車時間から10分程度過ぎている。
車内は喧騒の空気であり、些か私も取り乱す。


何故だか解らないが、中々発車しない新幹線。
変だ、そう思いつつも気分を粉ぎらそうと携帯を握った。
明らかに可笑しかった。
確かに携帯の電波は三本きっちり立っていたのがいつの間にか、逆にきっちり圏外だ。
何処に翳しても圏外から携帯の電波は脱出しない。
ディスプレイに文句を言いかけた瞬間だった。


大きく上下に車内が揺れた。



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