しー…Uside.… 大人しくシャワーを借りてみると、手持ちのシャンプーやボディーソープの香りに落ち着きを誘われ、バスタブに足を入れる頃にはすっかり自我を取り戻していた。 連れて来てくれた時も手首を握ってくれた方は今度はとても優しい手つきだった。 顔にパシャリとお湯を当てながら、私はぼんやりと事の発端を整理した。 「ぁ……で、お名前何だったかしら?また悪い癖!何だった…えーと、ホラ…… 駄目だわ。さっぱり思い出せない…」 「ヒソカ」 「ヒソカ!そうよ、私!ヒソカさんっ。駄目ね、ちゃんと覚えなくては駄目!ヒソカ、ヒソカ、ひーそーかっ。 良し、覚えたわ。ヒソカさん」 「嬉しいねぇ。そんな必死に覚えようとしてくれるなんて」 「助けて下さった方のお名前を覚えないだなんて失礼ですから…… な、……ぜ?」 「君溺れ兼ねないなぁとか思ってね。実際は寛いでくれていて良かったよ」 「………」 取り敢えず、何故入って来てるんだろうという疑問は無しにして、私は裸を見られたくなく、バスタブの中で膝を抱えた。 … …… ………----- ふわふわもこもこのお気に入りのパイル生地のワンピースタイプのパジャマに身を包み、差し出されたワイングラスを見詰めていた。 赤いワインは揺らがせて、その揺らぎ具合が少し気に入って、私はグラスに釘付けになって仕舞っていた。 「飲まないのかい?」 「っ、ぁ…すみません。…私、飲めないんです。お酒飲むと蕁麻疹(ジンマシン)酷く出て仕舞って…。折角頂いたのに、すみません」 「困ったなぁ、ジュースはないし…あ、珈琲ならある」 「気になさらないで下さい。私、別 「珈琲も無理かい?」 ぁ、いえ。珈琲は大好きです。朝昼夜、必ず煎れて飲む程。酸味より苦味が深い方が好きで…いや、如何でも良いですよね。何喋っているのかしら…すみません、」 Next→ prev next back |