03-last

また、会えた。

だが、お前は俺を覚えてはいないだろう。不思議そうに俺を見上げながら、首を傾げるので俺は首を振った。座り込んだままで目元を擦るので、俺は如何した、と顔を覗き込みながら問い質せば、少し眠たいのだと言う。


「眠れば良い」

「でも…………」

「俺は気にするな」

「あの、………ぁ………」


急に顔を上げ、俺のシャツに手を掛けて懇願するように瞳を揺らがせたが、自分が行った行為は無自覚だったらしく、挙動不審に首を振っては自分を否定するではないか。


「眠いんだろ。気にしないで寝ろ。お前、いつも寝てねぇだろ」

「…ったら……」

「あ?何だよ」

「眠ったら、行ってらっしゃいませって言えなくなります。見送れずに、返られて仕舞うのでしょう?ですから…」


目を伏せて、自分の手の甲に爪を立てる。そんなお前は、俺が勝手に帰るのだろうと気掛かりに思ってくれているらしい。歯切れ悪く、独り言のように呟いたお前に、俺は馬鹿だな、と呆れた。


「いつも居んだろが。帰る時には起こす。…いや、今夜は一緒に眠れば良いじゃないか。

来い、xxx」


ぐぃ、と手首を掴み立ち上がらせれば、力任せに引っ張って、ベッドに投げた。ボスンっと盛大な音が鳴ったが、俺は知った事ではないと自らも乗り上げた。それに伴いギシギシとスプリングがしなっていた。


「………ぁ……」

「今日は寝ろ。いつも起きっ放しだろ。顔色も良くねぇしな」

「……ぁ、でしたら…」


戸惑いながら上半身を起こしたお前を余所に、俺はシャツのカフスを外し、詰めていた釦も第3釦まで外し、ベルトを緩めていたのだが、ふと真横に視線を向ければ…開いた口が塞がらない。


「何やってんだ、お前…」

「…え?だって」


お前はドレスの肩紐を外し、下着…ブラも取り、更には下も取り去ろうと片足を抜き掛けていた。俺の呆気に取られた顔に困惑を示し、胸元を手で覆う。小さな声で、するからこそ私をベッドに…、と視線を外したままで呟く。


「んな事、しなくて良い。服を着ろ」

「っ…。私の身体では分隊長様を満足させられませんか?ただの部下であったフラムへの情だけで私にお金を落としてくださっていらっしゃるのは重々承知致しておりますわ!だったら、せめて……女を使わせて頂かないと…。

そのような価値も………無いですけれど…」


それが、私のお仕事ですのに。

お前は静かに口にしながら、自らの腕に爪を立てる。俺はその手を静止させ、言葉を選びながら、お前に着付けていたドレスに腕を通させる。

別に、抱きたくない訳ではなかった。寧ろ、無茶苦茶に掻き抱いて仕舞いたい衝動を抑えているだけだ。

俺だって、ただの男だ…


「態とシないだけだ。時間を使ってxxxを抱きたい。体調、本当は悪いんだろ?だったらしっかり治せ。楽しみはそれまで取っておく。

後から蜜を味わった方が良いだろ」


横になり、左腕を伸ばしてお前の手を引く。倒れ込むように俺の腕に頭を寄せて、背後から右腕を回してお前を抱き締める。甘くも濃厚な薔薇の香りに酔いそうになる。細く滑らかな身体だ。

嗚呼、俺はずっとこうしたかった…




---また、会えると良いですね。
この、素敵な世界で。



あの時の風景を、夢で見たい。
余計な会話は不必要で、お前が俺に微笑むその表情は自然そのものだ。


「優しくされても………私は…」


睡魔に引っ張られ、俺は一層お前を抱き締め、後頭部に知られずにキスを施した。


また、会えた。
それだけで良いだなんて、一時の満足を味わいながら、そう思っていた。


Fin…xxx
2013/10/16:UP

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