おあずけ・待て・よし!


「赤崎!赤崎!ねぇ、チューしよ?」

一緒にサッカー番組を観ていた世良さんがCMに入ったとたんにバッと俺の前に仁王立ちをしながら子供がチューをするときの様な唇を突き出した顔で俺に迫ってきた。

「いや、普通に世良さんよりCM明けの「今週の欧州の結果」のほうが気になるんでそこ、退いて下さい」と言いながら右腕で世良さんを払いながら俺の横に座るように促した。

世良さんは「それが愛する人にキスしたいって迫られてる奴の態度かよ!!」とキャンキャン言っていたが、CMが明けると嘘みたいにシュンと静かになり、俺にすり寄ってきて一緒に「今週の欧州の結果」を観始めていた。

内心、観れて良かったと思いつつ、何か裏があるに違いないと思い横目で世良さんを見ると、案の定さっきの「子供のチュー顔」で諦めずに俺の事を見ていたので、右手の親指と人差し指で世良さんの頬をつまむと俺は目線をそのままテレビへと戻した。

つままれた事によって鳥のクチバシのように不自然に出た唇を駆使して何かを俺に伝えようとしているようだったが、思うように口が開けないようでモゴモゴと喋っていたが、何度か試すと思いを伝えることは不可能だと悟った様で世良さんは気づくと静かになっていた。

「今週の欧州の結果」のVTRも終わりスタジオでの解説が始まったので世良さんに視線を戻すと、この状況でも尚もキスしようと俺に迫ってきていたので、しょうがないと手を放すと矢のように俺を非難する言葉が次から次へと飛んできた。

俺はその言葉を無視するように頬から放した右手を世良さんの頭の後ろに回しグッと俺の方へ顔を引き寄せると世良さんが待ち望んでいたキスをようやくしてあげた。

キスが終わって、世良さんを解放すると一瞬呆然としていてが、すぐに我に返り「赤崎、不意すぎ!!」と少し不満だったようで俺を軽く叩きならがそう、言葉をかけてきた。

「なんで、俺が世良さんに怒られないといけないんですか。元は世良さんがキスしたいって言ったんじゃないッスか。俺は今、したくなったからしただけッスよ。」と伝えると「…赤崎のペースでなんかムカツク」とポツリと愚痴を言っている割には嬉しそうな顔をしていた。

――ねぇ、世良さん。本当は俺だってさっきすぐにキスが本当はしたかったんッスよ?
でも、じらしたほうが何でも美味しくなるじゃないですか?だから「今」したんすよ。

……なんて思いを口にしてみようかと思ったけど、相変わらず俺の横でキャンキャン愚痴を言ってる人に伝えてもしょうがないと思い、また俺は世良さんの頬を指でつまみ黙らせようとしてみた。

鳥のクチバシ顔になっても世良さんはモゴモゴと愚痴を言い続けていたので、俺は笑いを噛み殺しながら世良さんが諦めるまでその光景を眺めていた。





** あとがき **

久々に難産でした。。。
自分的に言葉を上手くまとめられなくって、苦しかった。

>ε<
↑世良のつままれた顔イメージw

以上、お粗末様でしたw

2011.11.7



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