御守り喧嘩


「椿、チキンだしこーいうの好きかな?って思って。結構、有名な神社で俺も現役の時に持ってたしさ。利くかは分かんねーけど、たまには祈るのも良いんじゃない?」

練習が終わった後、話があるからと呼ばれていた監督の部屋へ行くと、監督は俺にそっと御守りをくれた。

「たまたま近くを通ったから、ついでに買ってきただけ」と監督は言っていたがその気持ちや心遣いが嬉しくて俺は泣きそうになっていた。

「なに?椿、泣きそうなの?可愛いな、もー」と言うと監督はワシャワシャと俺の頭を撫で始めた。

何だか急に恥ずかしくなってしまい「あ、ありがとうございました!」と叫ぶと逃げるように部屋を飛び出てしまった。





-----
数日後

「はーい、ほら!準備できた人から早くバスに乗る!!!!」
今日も永田さんはみんなに大きな声を出して呼びかけていた。

遠征用の準備も出来たし、バスに乗り込もうとしていたら「あぁあぁぁあ!!椿の御守りが増えてるー」と世良さんに急に声をかけてられた。

ビックリして動揺しながらも、とっさに「こ…この前、し、し…知り合いの人に貰ったんです!」と返した。
…恥ずかしくて素直に「監督から貰った」とは言えなかった。心が少し痛かった。

「良いな、これ有名な神社の御守りじゃんか!俺も欲しいな!!…元から付いてるのは地元の友達がくれたやつだっけ?」
との世良さんの問いにコクコクと頷き、和やかムードでお話をしていたら、「世良さんに椿…知らないッスか?」と赤崎さんが声をかけてきた。

俺と世良さんはその問いの意味が分からず、見つめ合った後、2人して「?」顔で赤崎さんを見つめた。

赤崎さんは一つ小さなため息をつくと、「違う神社の御守りを付けてると、神様同士がケンカしちゃうからご利益なくなるらしいッスよ」と爽やかに告げると、赤崎さんはバスへと向かっていった。

一瞬、頭が真っ白になり「どーしよ!?!?」なんて2人でアワアワしていると、「そんなに気にすんな。神様はそれ位じゃケンカしないって節もあるぞ」とドリさんが優しいく声をかけてくれた。

「…そ、そうッスよね、ドリさん!神様は心が広いはずッスよね!」と世良さんが言うと、「そうそう」とドリさんは頷いてくれ、ホッと一安心したのもつかの間、「俺はそういうの気にするタイプだから1つだけ……」と言いながら、御守り1つ付けたカバンを持ったドリさんが俺たちの前を悠然と歩いていった。

「わぁー!!ドリさんヒドいッスよー」との世良さんの叫びは虚しく響いていた。

そんな事をしていると、「何がヒドいか知らないけど、早く乗る!!」と永田さんに引っ張られて、俺と世良さんは無理矢理バスへと乗せられてしまった。


結局、悩んだ末に俺のカバンには今でも2つの御守りが仲良く揺れていて、世良さんは悩み抜いて1つに絞って、この話は解決した。












** あとがき **

5月上旬には出来上がっていたのですが、なんだか納得出来ず、放置してたお話です。

久々に読み返してみたら「何か、良いんじゃない!」と思えた自分が居たので、ノリで更新しておきますw

ちなみに私の考えは、勿論愛しのドリさんと一緒ですww(一緒にしたんだろ!等のツッコミは一切受け付けません!w)

こーいう、ネタ話をいっぱい更新できるようになりたい!!!!


2011.06.15



散文置き場に戻る
あだ桜TOPに戻る



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -