真夜中御膳
監督とファミレス店員しか出てこない曲パロのネタ文です。
嫌いだったり、苦手な人は気をつけてくださいませー
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--「いらっしゃいませ!!一名様ですか?おタバコは……」
平日夜中3時過ぎ、一番暇な時間帯に緑色のモッズコートを着た男が店に入ってきた。
「うん。お一人様。…悪い?」
「いえいえ…こちらへどーぞ!」
まだ若そうなのにこんな時間にファミレスって。しかもちょっとフラフラしながら歩いてる気がするし、酔っぱらいか?とりあえず普通の人じゃなさそうだな。…何て、考えながら席へと案内した。
「ご注文がお決まりになりましたら……」と俺が決まり文句を述べている途中で変な男はいきなり、「んなことよりさ、ドクターペッパーある?」と声をかけてきた。
「申し訳ございません。ドクターペッパーは取り扱っておりません」と、有無をいわさずに俺が謝ると「っちぇ…何だ、ないんだ。じゃあ、ドリンクバーとコレ」といきなり注文をしてきた。
「ドリンクバーと和風御膳でよろしいでしょうか?」とメニューを繰り返していると「うん。よろしいよー、よろしく〜」と発しながら既に体はドリンクバーへと向かっていた。俺は軽く会釈すると席から離れ、注文をキッチンへと運んだ。
料理が出来上がるまで、何もする事のない俺はその「モッズコートの変な男」の観察を始めた。
男は相変わらずフラフラとした足取りで飲み物と無料閲覧できるスポーツ紙を何紙か手に取ると満足げに席についた。
4人掛けの机いっぱいにスポーツ紙を広げると、男はパラパラと見始めた。
流石にどのページを読んでるかまでは分からなかったが「ハハッ、調子がイイネー」とか「倒しがいがあるねー」「おぉ、うちも載ってら〜」と時折、独り言にしては大き過ぎる声を出しては、周りにポツリポツリと居る客に白い目で見られていた。
勿論、本人はどこ吹く風でその後も同じようにスポーツ紙を読んでいた。
「お待たせいたしました。和風御膳でございます!」
出来たばかりの御膳を持って行くと、読んでいた新聞をスッと少しずらして置く場所を作ってくれた。
去り際に「ごゆっくりどうぞー」と声をかけると男は右手をヒラヒラ〜と振ってはくれたが、結局最後まで新聞から目を離すことはなかった。
その後も一応は食べているようだったが、手元なんてほぼ見ることはなく、とっかえひっかえスポーツ紙を変えては熱心に読んでいた。
俺が他の仕事をしている間に食べ終わったらしく、気付いたら変な男はレジへとやってきていた。
「お待たせいたしました!1138円になります」
レジを打つと男はモッズコートのポッケからガサガサと1500円を出してきた。その時、何かを見つけたらしく「ニヒィー」とイタズラを思いついた子供のように笑っていた。
「362円のお返しになります。ありがと……」と言い掛けたとき、また俺は変な男に声をかけられた。
「ねぇ、ねぇーポッケからコレ出てきたからあげるー」と言うとポイッと俺の前に2枚のチケットを差し出してきた。
「ETUと大阪で隅田川スタジアムってサッカーのチケットですか?」
「おぉ、知ってんだ!!嬉しいね〜面白い試合になるから来ればいいよ」
「知ってるって言っても「地元のチーム」ってことくらいしか知らないですがね……」
あからさまに「どーでも良い」といった態度をとっていたら、今までのヘラヘラしていた顔からは想像もつかないようなマジな顔になり、
「そんなん知ってるよん。だから、誘ったんだよ。」とつぶやくと、モッズコートを着た男はカウンターにチケットを置いて、右手をヒラヒラ〜とさせながら出て行った。
あまりのスゴさに呆気にとられていたら、不意に別のお客から声がかかった。俺はカウンターに置かれたままになっていた2枚のチケットを急いで自分のポッケへとしまうと、そのお客の元へと向かった。
** あとがき **
夜中3時頃にふと、目が覚めてちょっと眠れる気配がなかったのでサクサクと書いてみました。
冒頭でも言った通り、この作品は曲パロです。
柚子の「過食な健康食」って言うスゲー昔のシングルに入ってるカップリング曲です。
ファミレスで見つけた変なおっさんを唄ってるネタ曲です。
色々あって久々に聴いたら「深緑色のコートの男」ってフレーズに思わず吹いてしまって、そこから曲イメージと合わせて膨らませました。
徹夜明け、イメージでは逆転で勝ってウハウハしてるのに「監督」って気付いてもらえずちょっと拗ねてる監督みたいな感じ。
あっ、チケットの大阪戦は大逆転のあの大阪戦でお願いします!!
えぇ、なんでかって!?そりゃ、昨日読み返したばっかだし、好きだし、自分の中では大切な1戦だからですw
2011.05.06
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