キ・ミ・コ・イ
世良さんのケータイはいつも忙しそうにずっと働いている。
2人で他愛もない話をしていると、テーブルの上に無造作に置かれていた世良さんのケータイがメールが届いたことを告げた。
目で謝りながら世良さんは俺との会話を続けながら素早く指を動かして、きっと俺の知らない相手に返信を打っていた。
メールの返信が終り、テーブルにケータイを置いたかと思ったら今度はさっきとは別のメロディーで電話の着信を告げた。
世良さんはためらうことなく「お疲れ様です!」と素早く電話に出ると、顔の前に手を出し「ゴメン」と言いたげな顔で俺を数秒見つめると、そそくさと席を立ち俺から少し離れ、背を向けながらちょっと盛り上がったり、ペコペコ頭を下げながらコソコソと楽しそうに会話をしていた。
まだまだ続きそうだなとそんな後ろ姿をボンヤリと眺めていると「じゃ、失礼します」と早々に電話を切り、「ゴメンねー」と笑顔を向けながら元いた場所へと何事もなかったように世良さんは戻って来た。
----
「電話、誰からだったんッスカか?」
冷たい声がシーンとしていた部屋に響いた。
一呼吸置いてから世良さんに話しかけると、思っていたよりも強い口調で話している自分が居て、そんな自分にびっくりしていると世良さんは「タンさんから呑み会の誘い。もちろん断ったけど」とクスクス笑いながら俺を見つめてきた。
「…なんで、世良さん笑ってるんですか?」
「だって赤崎さ、顔真っ赤だよ?…もしかして、メールとか電話とか焼き餅?嫉妬?してた?俺、嬉しいんだけど!!」
ケラケラと笑い出す世良さんに「お、俺が世良さんに焼き餅?嫉妬?そんなこと、ある訳ないじゃないですか?」と反論してみたものの、自分でも顔が火照っていてるのが分かってしまい可笑しくなってつい自分でも笑ってしまった。
「そんな顔で言われたって説得力ないって!」と世良さんに指を刺されながら本格的に笑われると、何故だかホッと安心してる自分がそこに居た。
** あとがき **
3000hitリクで仲子さまより「ザキセラ」と頂いたので、遅くなりましたが書かせて頂きました!
「リクエストなんだからやっぱ、甘いお話だろー」と思い、自分的にはかなり甘いイメージで書かせて頂きました。
多分、きっと普通なら逆をイメージしそうだな。と書いてて思いました。
世良さんに気づかぬ間に焼き餅焼いちゃう赤崎だって可愛いと思う。でも、それを指摘して笑ってる世良さんはきっともっと可愛いはず(笑)
とりあえず、気に入っていただけると良いなぁー
2012.05.05
加筆修正しました!
2012.05.24
■ 散文置き場に戻る
■ あだ桜TOPに戻る