ちびドリ(2/3)


ペタッと座り込むのと同時に、さっきの女性がのぞき込むように俺に近付いてきて「…せ、世良選手ですね?」とさっきの少年と同じ様な表情で俺を見つめてきたので、疲労から声を出す気にもなれずコクコクと頷くのと同時ぐらいに「サイン貰わなきゃ!!!!」と急ぎ足で奥の部屋へと消えていったかと思うとさっきの少年と何かを探し始めたようだった。
その後ろ姿をぼんやり眺めながら俺は「あぁ、間違いなくこの2人は親子だ」と強く感じた。

そのまま、その姿をボッーと眺めていると「世良、色々すまなかったな」と優しい手と声をドリさんが差し伸べでくれたので差し出された手を握り、立ち上がるとドリさんは「これ、うちの兄貴」とちょっぴり老けた感じのドリさんをそう、紹介してくれた。

「いつもお世話になってます」とお兄さんに頭を下げると、「こちらこそ。…今も迷惑をかけてしまってスミマセン」と奥の部屋で何かに格闘している親子に目線を向けたので俺も目線をそっちに向けると、バツが悪そうに「…うちの嫁と息子です」と紹介してくれた。

頭では分かっていたけど、ハッキリした答えを聞いてなんだかホッとしていると、近県に住んでいてたまにETUホーム試合を観に来ていて互いの予定が合う日はそのままドリさんの家に泊まっていくことがある事と、ちっさいドリくんはドリさんに憧れて地元のサッカーチームでゴールキーパーをしている事をドリさんとドリ兄さんが教えてくれた。

そんな世間話をしていると、隣の部屋から「あった!!!!」との声が聞こえ、気付くと俺のそばに「ちびドリ」が走り寄ってて俺に少し震えながらスッとノートのような“何か”を差し出してきた。


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