贈り物


「何度言ったら分かるんだ!!罰金だぞ!!!!」
練習に遅刻してきたジーノに対し、赤い顔をしながら松ちゃんが怒鳴り散らしていた。

そんなに怒ってもどーしようもないのになぁ…
とかまだ完全に起きてない頭の隅で考えているとその「ジーノ」が俺の前にやってきた。

「タッツミーにこれ、あげるよ♪」と、王子はとても嬉しそうにスッと目の前に花束を差し出してきた。

王子は時に何をするか分からない。俺はこれくらいでは驚きはしないが、松ちゃんを含めみんなが一斉に俺を見て、目を白黒させているのが分かった。

「こりゃ、どーも。」
と俺が受け取った花束は小ぶりながらもしっかりとしている今の時期にピッタリなヒマワリがメインの花束だった。

「…王子、なんで監督に花束渡したんッスか?」
若干ザワついている状況の中、誰もが聞きたかったであろうことを赤崎があっさりと声に出して聞いた。
全員が一瞬、赤崎を見て、俺を見て、そしてジーノに目線を移して静まり返ったのが少し面白かった。

「そんな愚問だよ、ザッキー!愛しい人に似合うと思った花を見かけたら、贈るのは当たり前だろ?」とサラリと言ってのけるあたりはさすが「王子」である。

また、少しザワザワしている中、ジーノは
「ボクの家の前の花屋をふと見たらさ…」とみんなに買ってきた経緯を話ながら見事に輪の中へと溶け込んでいった。

俺はもらった花束を小脇にかかえながら手を2、3度叩き、「さぁ、お前たち練習始めるぞー」とコーチ陣・選手達に声をかけた。

どこからともなく「監督、なんでそんなに冷静でいられるんですかー?」とか声が聞こえてきたが、俺は無視して、そっと優しく花束を芝の上におき「監督」として顔を上げた。

----

翌朝

「達海さん、起きて!!もう選手たちも集まってますよ!!!」

「うーん…あと5分…10分。。。」

「こら、寝るな!!すぐ起きる!!」
「…ちょっと達海さん!!なんで、ドクターペッパーの空き缶を花瓶にしてるのよ!!」

「……あぁー 空き缶っつっても、ちゃんと缶切りで上をあけて、コップみたいになってるだろー」

「そんな問題じゃない!!これじゃ、お花が可哀想だよ!!今、花瓶持ってくるからちゃんと起きといて下さいね!!」
と言い終わる前に有里は足早に俺の部屋から出て行った。

フワァーと伸びをしながら、上半身を起こすと昨日貰った花束が目についた。

いつもゴチャゴチャしている部屋だけど、たまにはこんな風景も良いなぁーなんて、のんびり考えていると有里がスッと部屋に入ってきて、手際良く花を移し替えていった。

「もー!!早く起きて、着替える!!!!」

「へい、へい…」
俺は渋々布団からでて、有里から手渡されるジャージへと着替えていった。








** あとがき **

基本は監督左派なのに、まさかの当サイト1作目は監督右w
個人的にはこの話は「×」ではなく「+」のイメージで書き始めましたが……
書き終わって見ていると「空き缶」はジーノが買ってくれたドクペの空き缶だったら面白いなーとか考えている自分も居ますw

きっと、バッキーとかも似合いそうだからとか言ってジーノ好みの服とか貰って困ったりしてるんだろうなぁー
……このジーノプレゼント話、シリーズ化しちゃおうかな!?!?



散文置き場に戻る
あだ桜TOPに戻る



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -