さよなら、愛しい日よ


トノさんの上京の時のお話です。
ETUメンバーは一切出てこないです。
ご注意ください。
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リーグ中断期間中に僕のETU移籍が正式決定した。

移籍が決まってからは、本当にあっという間に色々なことが決まっていき、ふと気付いたらもう、上京する日となった。

福岡空港へ行くと、空港には特に仲の良かった同じポジションの奴とGMが見送り来てくれていた。

3人で談笑していると、不意に「殿山!!!!」と野太い声で呼ばれ、ビクッとしながら振り返ると福岡サポーターのコールリーダーがそこに居た。

僕がビックリしていると、GMが「一応、コールリーダーにも上京便の日時を伝えておいたんだ」と教えてくれた。

コールリーダーは僕に走り寄ってくると、サポーターからの寄せ書きを渡しながら、自分しか見送りに来れなかったことをしきりに詫びていた。

僕としてはこんな存在感のない、しがない選手の上京にサポーターが見送りに来てくれただけで本当に嬉しかった。

ギリギリまでみんなで話していたが最終搭乗手続きの時間となってしまい、最後に集まってくれた3人に深々とお礼をして、僕は搭乗手続きへと向かった。

搭乗手続きも済み、中へ入ろうとしていたら背後から「殿山!!俺たちもすぐ1部に行くからな!!!!それまでにしっかりレギュラー掴んどけよ!!!!」と、コールリーダーが大きな声で僕にそう、叫んできた。

その声に答えるように手を上げ、みんなが見えなくなるまで僕は手を振り続けた。

みんなが見えなくなり、ふと握りしめたままだったサポーターからの寄せ書きを眺めていると、さっきのコールリーダーからの言葉が聞こえてきてスッーと涙が頬を伝っていた。その涙を僕は止めることが出来なかった。

見送りに来てくれた人達やこの寄せ書きを書いてくれた人…僕を今まで支えてきてくれたみんなに僕はこれからもっともっと活躍出来ように頑張ることをそっと胸の中で誓った。








** あとがき **

某クラブの公式サイトをなんとなく見ていたら、外国人選手の引退だかが決まったらしくて「帰国便、決定!!」とのニュースに詳しい便名とか時間とかが載ってて、その記事を見てたら、↑の内容がフワ〜っと出てきたので、書いてみました。

もう…かなりの妄想の域です。スンマセン。
でも、どーしても書きたかったので素直に書いてみました。

…最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました。

2011.06.26



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