そのよん



「うほーっ!イカ焼き、タコ焼き、お好み焼き、焼きそば、綿あめ…肉もあるぞ!全部食うぞーっ!」

「ちょっとルフィ!はぐれたら大変でしょ!全部回るから、もう少し落ち着きなさい!」

「おお、酒もあるじゃねェか」

「ゾロ!ひとりで行くな!あと迷子センターはあっちだからな!」

「おいウソップ、おれには迷子センターはいらねェ」

「嘘つけ!!!」




「賑やかだね」

「いつものことだろ」

「ふふ、そうだね」



いつも通り賑やかな皆のうしろで、ゆったりと手をつないで歩いた。
でも実際、心がうきうきしているのは私も一緒。



「あ、チョコバナナおいしそう、クレープもいいよねえ」

「クク、●●ちゃん、言ってることルフィと一緒だぜ」



からかうように笑いながらも、つなぐ手はやさしい。




「おお!●●、おめェも食うか!?これチョコにバナナがついてんだぞ!」

「おいルフィ、それはバナナにチョコがついてるんであってな、」

「わー食べたい!ルフィちょうだい!」




「ゾロ!ちょっと、勝手にいかない!!」

「酒が足りねェんだよ」

「クソマリモ、ナミさんを困らせんじゃねェよ!」





屋台の食べ物に夢中になって歩き回ったり、座ってお酒を楽しんだり、皆で射的で対決したり。もちろん優勝したウソップにみんなでカキ氷を奢ったのに、それをルフィが横取りしたり。
いつも通りだけどいつも通りじゃない、皆と過ごすお祭りを目いっぱい楽しんだ。




「そろそろ花火の時間かなァ」



ぽつり、と呟くと、サンジくんがきゅっと私の手を握った。そして、ニッと口角を上げながらゆっくり人差し指を唇に当てる。「しーっ」って、どういうこと?



「サンジく、」



それってどういうこと、と問う間もなく、サンジくんはゆっくり私の手を引いて、皆に背を向けた。
どういうこと?混乱している間に、ぐいぐいサンジくんは進んでいく。いつの間にか人ごみに呑み込まれ、皆の姿は見えなくなっていた。


どうしたんだろう。私の腕を引くサンジくんの手は、いつもより少しだけ強引。
こちらをたまに振り返りながらぐんぐん人ごみの中を進んでいくいつもと少し違うサンジくんの後ろ姿に、どきどきと心臓がうるさい。
わたしの心は、ほんとうに忙しい。





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