そのに

そして夏祭り当日。昨日新しい浴衣をナミと見に行って、ナミ一押しの浴衣を私も気に入り購入した。
私の浴衣は紺地に流水紋、さらに白を基調とした花があしらわれた浴衣に濃い赤の帯。
ナミは白地に落ち着いたピンクと水色の大きな花があしらわれた浴衣に、私とおそろいの帯。



「ねえナミ、なんでこんなにぜーんぶ任せてって言ってくれたの?」

「だって着付けから何から全部うちでやりたかったんだもの。じゃないとあんたとサンジくん、家からずーっと一緒でしょ?」

「うん、たぶんそうなってたけど、何かよくないことあったかな?」

「ばかね!あんたちょっと前に、サンジくんとたまには待ち合わせがしたいって言ってたじゃない!」

「えっ、もしかしてそれ、覚えててくれて…?」

「当たり前でしょ!ほら、きれいにしてサンジくん驚かせましょ?」



いたずらっぽく笑ってぎゅっと帯を締めてくれるナミ。
確かに前にちらっと、そういうようなことを言った覚えがある。
そんな小さなことも覚えていてくれたナミに感動した。
ありがとう、と小さく言うと、ナミは何も言わずに微笑んでくれた。



そうして着付けが終わった。
ナミの明るいオレンジの髪に落ち着いた白の浴衣がよく映えている。きっと人ごみでも目立つその姿に、きれいだなぁと純粋に思った。



「ちょっと、●●、何見とれてんのよ」

「え?あ、ごめん」

「あんただって今凄い可愛いんだからね」



にかっと笑って鏡を差し出してくれる。たった今セットをしてもらったばかりの髪の毛はきれいにアップにされていて、浴衣と合わせて買った花飾りが揺れている。

まるで私じゃないみたい、と思った。こんなにきれいにしてもらえるなんて。



「うわぁ、すごい!ありがとうナミ!」

「いいのよ、これくらい。お祭りだもの、お洒落しなくちゃね」



大丈夫かな。背伸びしすぎたりしてないかな。
サンジくん、気に入ってくれるかな。なんて、柄にもなく、ちょっとそわそわした。



「さ、じゃあ行きましょ。男たちもきっと待ってるわ」



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